この度先輩のご飯係になりました~私と先輩の幸せレシピ~
4章 ひとりじゃないよ
1 私を取り巻く恋愛事情
「おー、これが美桜の小さい時の写真かぁ」
私の幼少期のアルバムを広げながら、いおり先輩は楽しそうな声を上げる。
相変わらずいおり先輩はよくうちでご飯を食べていて、私はそのご飯を作っている最中のことだった。
今日の晩ご飯はなににしようかなぁ。
悩みながらお母さんの本棚に脚を向けて、お母さんが集めた料理本からアイデアをもらおうとページをぱらぱらめくる。
そこに一緒についてきたいおり先輩は、ひとつの大きなアルバムに目をつけた。
「これなに?」
「あ、それ、私の小さい頃のアルバムです」
「アルバム!見てもいい?」
「いいですけど、そんなに面白くないですよ?」
「面白くなくていいんだよ。ただ俺は、俺の知らない好きな子の小さい頃を知りたいだけ」
「そ、そうですか…」
さらっと混ぜられた「好きな子」という言葉にドキッとしてしまう。