この度先輩のご飯係になりました~私と先輩の幸せレシピ~
そんなやりとりがあって、数日経ったけれど。
私たちの関係はなにも変わらないまま。
私はいおり先輩のためにご飯を作る、ご飯係だ。
「美桜って小さい頃はかなりやんちゃだった?」
いおり先輩が写真を見ながら聞いてくる。
「え?そうだったかな…」
「なんだかどの写真も美桜のひざにばんそうこうが貼ってあって、よく怪我してたのかな?って」
「あー、そうかもしれません。なんでかなにもないところでつまずいたり、転んだりしちゃってたんですよねぇ」
「それ、地面から生えてきた手に、足をつかまれていたりしない?」
「ちょっと!急に怖い話やめてくださいよ!夢に出てきたらどうするんですかっ!」
「あはは、ごめんごめん」
いおり先輩は楽しそうにアルバムをめくる。
そんないおり先輩の表情を見ると、なんだか胸の辺りがむず痒くなった。
「美桜のお母さん、きれいなひとだね。美桜、似てきたんじゃない?」
「そう、でしょうか…?」
弱火でことこと煮ている間に、ちらっと写真に写るお母さんを盗み見る。
そこには満面の笑みを浮かべた私と、お父さんとお母さんそれにお姉ちゃん。
どこか遊園地やテーマパークに行った時の写真だったと思う。
四人で手をつないで、とても楽しそうに笑っている。