この度先輩のご飯係になりました~私と先輩の幸せレシピ~

「…美桜、聞いてもいい?」


「はい?なんですか?」


 いおり先輩にしてはめずらしく、私をうかがうように問いかけてきた。


「美桜のご両親って、今どうしてるの?」


「え?」


「俺、ここ最近ずっと美桜の家にいるけど、全然ご両親に会ったことないよね」


「そう、かもしれません…」


「お姉さんとは会ったことがあるけど、一葉(いつは)くんが様子を見に来るくらいだ。ほとんど帰ってきてないんじゃない?うちと同じで、ご両親は仕事が忙しいのかな?」


「…………」


 黙ってしまった私に、いおり先輩は慌てて付け足した。


「ごめん。立ち入りすぎたね。忘れて」


「あ、いえ…すみません…」


 いおり先輩が謝ることなんかなにもない。


 隠すようなことだってなにもない。


 ただ、これからおいしいご飯を食べる、っていうときにさびしい気持ちになりたくなかったんだ。


「今日の晩ご飯はなに?」


「シチューです!ロールパンと一緒に食べましょう!」


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