この度先輩のご飯係になりました~私と先輩の幸せレシピ~

 とある日の放課後。


 家庭科部の部活動で出たごみをまとめて、ごみ置き場に置きに行く道すがらでのこと。


 ごみ捨て場は人気もなく、放課後にだれかが来るような場所ではないのだけれど、声が聞こえた気がして、私は辺りを見回した。


 するとふたりの人影を発見。


 ふたりともジャージ姿で、ひとりは髪の短い女の子、もうひとりは……。


「あれ…?一葉くんかな?」


 後ろ姿ではっきりとはわからないけれど、もうひとりの男の子は多分、一葉くんだ。


 ふとりとも、こんなところでなにしてるんだろう?ごみでも捨てに来たのかな?


 しかしそんな雰囲気ではない気がする。


 いくら鈍い私でも、ふたりの間に流れる緊張感みたいなものに気がついた。


椿原(つばきはら)くんと綾瀬(あやせ)さんって、付き合ってるの?」


 え!私!?


「付き合ってない」


 一葉くんの少しうんざりしたような声が聞こえる。


 そういえばよく私との仲をからかわれるって言ってたっけ…。


 ごめん一葉くん…。


 私は心の中で謝罪する。

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