この度先輩のご飯係になりました~私と先輩の幸せレシピ~

「一葉くんありがとう!荷物まで持ってもらっちゃって」


「別にいい、これくらい。藤ヶ谷 庵(ふじがや いおり)はどうした?ひ弱で持てないって?」


 一葉くんのいおり先輩に対する毒舌は相変わらずだ。


「慌てて教室を飛び出してきたから、今日はひとりなの。一葉くんこそ、部活はお休み?」


「コーチが出張でな」


「そっか」


 一葉くんが一緒なので、しょう油やお味噌なんかの重いものも買ってしまった。


 重いはずなのに、運動部だからか、男の子だからなのか、なんの文句も言わずに買い物かばんを持ってくれている。


 そういえば会わないうちに、なんだかたくましくなった?


 一葉くんって、こんなに身体しっかりしてたっけ…?


 ついこの前まで同じくらいの身長だったと思ったのだけれど、気がつけばとっくに抜かされていて、もうすでに私より10センチ以上高い気がする。


 手だってこんなにごつごつしてたっけ…?


「…なに?」


 私がじろじろ見ていたせいで、一葉くんは気まずそうに私を見た。


「あ!いや、一葉くん、なんだかずいぶん男の子らしくなったなぁ…って。ついこの前まで同じくらいだったでしょ?身長」


「それいつの話してるんだよ」


「去年とか?」


「そりゃ伸びるだろ、男なんだから」


「男の子ってそういうもん?」


「だろ」


「ふーん」


 そんな他愛ない話をしながら、家へと向かった。


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