この度先輩のご飯係になりました~私と先輩の幸せレシピ~

 先輩はいつも洗い物をして帰る。


 「作ってもらっておいて、洗い物もしないで帰るなんて、ちょっと失礼じゃない?」とのことである。


 いおり先輩はたまに常識人みたいなことを言う。


 私を勝手にご飯係に任命したわりには、私にいつも優しい。


 もしかしてそれって、私のことが好きだから…なのかな…?


「なんちゃって!ね!」


「?なに?どうしたの?」


「あ!いえなんでもないです!」


「美桜、このココットってどこの食器棚にしまえばいい?」


「あ、それは、」


 私が説明しながら立ち上がると、どうしてか自分の脚につまずいてしまった。


「わわっ!!」


「美桜!」


 顔から転びそうになった私を、いおり先輩が抱きとめてくれた。


「す、すみません…」


「大丈夫?」


 「あ、はい、大丈夫です」そう答えようとした言葉たちをごくりとのみこんでしまう。


 いおり先輩の顔が近い。


 少し動いたら、くちびるが触れてしまいそうな距離…。


 改めて見ると、いおり先輩ってかっこいいんだなぁ。


 いつも変な言動のせいで忘れちゃってたけど、黙っていればイケメンさんだった…。

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