強面社長は幼馴染のつよつよ教師を一途に溺愛する
 中学に上がっても、謙吾は不器用で見た目が厳つかったため、女子には人気がなかった。寡黙な分、発する一言に重みがあるので、男友達には人気があったのだけれど。そんな環境だったから、謙吾にとっては私が唯一話せる女子だったのだと思う。
 聖堂館学園を卒業し、私は系列の女子大へ。謙吾は国立大へ進学。大学生になってからもたまにメッセージでやり取りはしていた。
 ことが起こったのは大学3年の時。久しぶりの同窓会で聖堂館のメンバーと集まり楽しく過ごした後、謙吾と二人、私のマンションで飲むことにしたのだ。
 ほどよく入ったアルコールと、一人暮らしの部屋に謙吾を迎え入れたという親密感で、私たちは一線を越えてしまった。
 もちろん私はもうずっと謙吾のことが好きだったからとても嬉しかった。でも、謙吾は違ったのだ。
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