強面社長は幼馴染のつよつよ教師を一途に溺愛する
 6年生を任されるということは、何があっても動じず、子供たちをピシッと導く力がなくてはならない。
 私なんて今回で6学年は2回目のまだまだヒヨコだ。

「いや、立派に最高学年の担任をしていると思うよ」

 そういって私を持ち上げてくれるのは、二つ年上の音楽教師、坂上優(さかのうえゆう)先生だ。
 同じ聖堂館学園の幼稚園教諭である奥様との間に男の子が一人いるパパさん先生。
 王子様のようなルックスで現役ピアニストでもある彼は、授業が楽しくて、生徒からも保護者からも絶大な支持を得ている。
 そんな先生に褒めてもらえるなんて光栄だな。

「ありがとうございます」
「あ、いたいた。天沢先生! 山口くんのお母さんからお電話です」

 放課後のこの時間は、保護者が待ち構えていたかのように電話をかけてくるのだ。急いで戻らなければ。
 それにもうすぐ職員会議だし。

「今職員室に戻ります! ……優先生すみません」
「早く行ってあげて」
 今日は金曜日。退勤後に予定がある。テストの採点も早く終わらせてしまおう。
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