強面社長は幼馴染のつよつよ教師を一途に溺愛する
 西門を出たところに黒のゲレンデが停まっていた。謙吾にぴったりの車だな、と思いながら車高の高いその車に乗り込む。
 車を走らせること20分。着いた先は大阪の一等地にあるラグジュアリーなホテルだった。
「私、いつものビアガーデンだと思ってた……」
「ここのビアガーデンがいいらしい」
 エレベーターを上がると異国情緒溢れるプールエリアが現れ、テラス部分がビアガーデンになっていた。
 まもなく日の入りを迎えるプールザイドに、ランタンとトーチの明かりが映えてエキゾチックな雰囲気を醸している。水面に映るプールハウスの明かりがきらきらと光っていて、なんとも言えない非日常感を感じる。
「素敵……」
 こんなに素敵なところに来るなら、もっとふさわしい格好で来たかった。今の私は仕事帰りのパンツスーツ姿だ。しかもかなり地味目の。
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