強面社長は幼馴染のつよつよ教師を一途に溺愛する
プールサイドビアガーデン side謙吾
 金曜日の午後、突然会社に次兄の六車優吾が現れた。
 次兄のホテルには我が社から何人ものスタッフを紹介・派遣している。新たに買収したホテルのスタッフを増員したいとの案件だった。
「なかなかいいホテルなんだ。プールが外と中にあって、改装すればそれが目玉になると思う。シーズンオフになったら外プールから始めるつもりだ」
 そう言って、『プールサイドビアガーデン』と書かれたチケットを数枚手渡された。
「ワンドリンク・ワンフードのサービスチケットだ。これを渡せばテーブルチャージのみで利用できる。月末までやってるからお前んとこのスタッフの福利厚生に使え」
「うわっ、めっちゃいいじゃん! 優兄、俺もほしい」
 充がチケットに飛びついている。
 プールサイドビアガーデンか。糸を誘うのはどうだろう。あいつはビール好きだから喜ぶかもしれない。あわよくば婚活アプリの進捗も聞けるだろうし……。
 運営側にいるとはいえ、プライバシーをのぞき見するつもりはなく、糸の利用状況を探るようなことは控えていたのだ。
 俺は次兄や充にはバレないようにネット予約し、糸にメッセージを送った。
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