強面社長は幼馴染のつよつよ教師を一途に溺愛する
 案の定、糸はプールサイドビアガーデンをいたくお気に召したようだ。9種類のビールを一つ一つ味わいながら、目をキラキラさせて感想を言う糸が可愛い。
 ところが、突然糸が黙り込んでしまった。なんだ? 機嫌が悪い? 気のせいか?
 直前の会話を思い出してみる。マトンの話をしたんだったか? うちの母親が苦手だから聞いたんだが。
 少し気になったが、それ以上に気になっているのは婚活アプリのこと。俺は思い切って進捗を聞いてみることにした。 
「イイネが508個」
「508⁉ そんなの増えたのか?」
 普通は多くて100。508イイネは破格だ。運営側から言えば貴重な存在。ぜひとも課金に進みマッチングしてほしい。
 しかしそれが糸なら話は別だ。
「私、結構モテるみたいよ?」
「そ、それで? マッチングは……」
「どうしようかなーと思ってる。運動会準備で忙しくて、課金には至ってないけど」
「ホッ…………あ、いや、そ、そうか」
 良かった。まだ課金前か。
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