強面社長は幼馴染のつよつよ教師を一途に溺愛する

「え？　ええっ？　あれ、謙吾も初めてだったの⁉」
「そ、そうだ。悪いか？　正直、こんな目つきの悪い熊男、相手をしてくれるのは糸だけだったじゃないか。昔も今も」
「……」
「お前、ヤリ捨てっていうけど、俺だってショックだったんだぞ」
「ブフッ……なにそれ……」
　こんな大きな熊男が、バスローブを着てソファーに沈みながら拗ねている。
　笑いがこみ上げてくる。これを可愛いと思う私の目はきっとおかしいのだろう。
「ねぇ、さっきのは本気？」
「さっき？」
「プールサイドで謙吾が言ったこと」
「あ、ああ……。いや待て、ちょっと待ってくれ！」
「……？」
「いいか？　ここで待っててくれよ！」
　謙吾が突然ソファーから立ち上がり、バスルームに消えていった。
　
　……冷えたのかしら？