強面社長は幼馴染のつよつよ教師を一途に溺愛する
この7年の戒めを side謙吾
 これは戒めだった――。
 
 バスルームに入り、鏡に向かう。
 そこには髭面で目つきの悪い男が映っている。すっかり見慣れた自分の顔だ。
 この7年、毎朝鏡に向かい、外に出られる程度に整えてきた髭。
 「よし……」
 
 こんな形でこの部屋に入ることになるとは思わなかった。
 糸を車で迎えに行きたかった俺は、兄貴のホテルに部屋を取っていた。明日はお互い休みだし、泊まっていった方がゆっくりできるだろうと考えたからだ。
 そこに邪な心はなかった。だから糸に安心してもらえるように、ツーベッドルームのプレジデントスイートを予約した。一度はそういう関係になったからといって、こんな熊男と同じ部屋で一夜を過ごすなんて考えられないだろうと思ったからだ。
 
 だが……これは急展開だ。
 俺は、今から一世一代の告白をしなければいけない――!
 
「出来たぞ」
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