強面社長は幼馴染のつよつよ教師を一途に溺愛する
「っ……」
「謙吾?」
 すべすべしている頬だが、よく見るとところどころ切れて血が出てる。
「大変……血が出てるじゃない!」
「あ、ああ……そこに備え付けの剃刀を使ったから滑りが良くなくて。でもこういう血はすぐ止まるんだ。心配ない」
 痛々しい頬や顎をしながら心配ないと言う謙吾。その表情は言い訳する子供たちと似ていて、さっきよりもずっと幼く見える。そして、それはかつて私が好きになった懐かしい謙吾でもあった。
「謙吾……」
 剃刀で傷ついた肌が早く治りますようにと、頬をいたわるようにキスをする。
「糸?」
「もうっ、無茶しないで。アメニティの剃刀なんて痛かったでしょう? でも髭も悪くはなかったけど、やっぱりこっちの方がいい。……私も謙吾が好き。ずっとずっと忘れられなかった。結婚、するよ」
「糸! もう、キスしてもいいか?」
「それ聞く? そのために……んっ」
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