強面社長は幼馴染のつよつよ教師を一途に溺愛する
溺愛熊のやることは
 チャイムの音がする。聞きなれない音、誰かの喋る声。なんだろう?
 気になるけど、体が重くて起き上がれない。瞼だけは何とか持ち上がった。
 ここは……ああ、そうだ。昨日、謙吾と――。

「糸? 起きたのか?」
「げん……ゴホッ」
 何この声? かすれて声が出ない。
「ああ、悪い。昨日ちょっと啼かせすぎたな」
「な゙……ゴホッ」
 何言ってるの⁉ 恥ずかしい!
「今ルームサービスを頼んだ。オレンジジュース飲むか? 水もあるぞ」
 オレンジジュース! 飲みたい!
 気持ちが伝わったのか、ダイニングテーブルからオレンジジュースをベッドまで持ってきてくれた。
 搾りたてのオレンジジュースが喉を通る。美味しい!
「喉、大丈夫か?」
 心配そうにのぞき込む謙吾。今朝の熊さんは申し訳なさそうにシュンとしている。
「……大丈夫」
 まだ少し喉に違和感があるけれど、今のオレンジジュースでかなり蘇った気がする。
 ベッドサイドの時計を見ると午前7時10分だった。
「朝食はオムレツにしておいた。ウォーマーに入っているから、先にシャワーを浴びるか?」
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