強面社長は幼馴染のつよつよ教師を一途に溺愛する
 風呂上がり、クローゼットまで行くと、素敵なワンピースがかけてあった。どれも同じセレブ御用達のブランドだ。私にとっては憧れのブランドで、実は入学式用に1着だけスーツを購入したことがある。改まった行事の時にも胸を張って着ていけるし、とても気に入っている。けれどあれは私にとって大奮発だった。
「5着も……」
 返品交換は一切受け付けないお店だから、これは買取なのだろう。
 私はミモザイエローのニットワンピースを着てみた。最高の着心地だ。おまけにワンピースにぴったりなミュールまで用意されている。これ、昨日の夜もここにあったのかしら? 全く記憶にない。隣接するデパートから取り寄せするにしても、こんな時間に? 謎だわ……。
 リビングに行くと、謙吾も着替えを終えていた。濃紺のスラックスに淡いグレーのボタンダウンというトラディショナルなスタイルだ。これだけ身長があれば何を着ても様になる。
 しかしここでも疑問に思った。このサイズの服をコンシェルジュに用意してもらったの? 夜の間に? それはなかなか大変なんじゃないだろうか。謙吾は自宅から持ってきたのかしら。来るときに大きな荷物はなかった気がするが……。
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