強面社長は幼馴染のつよつよ教師を一途に溺愛する
「いいか?」
「……何を今さら。別に逃げるつもりもないし、いいわよ」
「糸……」
「ちょっと反省したの。ちゃんと話し合えば7年も無駄にしなかったんだろうなって。それにこの可愛げのない性格もね」
「……? 糸は可愛いぞ? 昔から顔だけじゃなくて性格も」
「なっ、なにを」
「勝ち気な性格も俺の好みだ。俺を倒して馬乗りになってくるところなんかも……」
「わぁーっ」
 何言うのよ⁉
「倒してない! 謙吾が私を持ち上げたんじゃない!」
「そうだったか? まぁいつだって糸は俺にとって一番可愛い存在だった。今もな」
「ん?」
「このワンピース、肩を出してるなんて反則だろう? 触りたくなるじゃないか」
 いつの間にか食べ終わった謙吾が私の前に来ている。
「顔合わせの場所、このホテルのレストランなんだ。まだ十分時間があるよな」
 そう言って、私をひょいっと抱き上げ、むき出しの肩にキスをする。
「ちょ、ちょっと何してるの⁉」
「もう食べ終わってるだろう? 7年も待ったんだ。昨日のあんなのじゃ全然足りない」
「謙吾!」
 スタスタと歩く先は、まだ乱れたままのキングサイズのベッドだ。
「せっかく着替えたのに!」
「また後で俺が着せてやるから、脱がせていいか?」
 って、もうジッパー下げてるじゃない!
「俺の上でいっぱい暴れていいから」
「……もうっ! そういうこと言わなくていいー……んんッ……」
 ああ、溺愛熊はまだまだ腹ぺこらしい……。
 
 そうして、私たちは7年の歳月を埋めるかのように時間ギリギリまで愛し合った。
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