強面社長は幼馴染のつよつよ教師を一途に溺愛する
 どう言っても糸のお小言は止まらない。今は毛を逆立てて怒っている猫のようだ。俺が悪いのだが……。
「ハァ……いいわ、聞いてあげる。ちゃんとまともな言い訳をしてみなさいよ」
 さすが教師。理由は聞いてくれるようだ。これは観念するときがきた。俺は仕方なく、自分がマッチングに参加しようと考えたことを話した。
「信じられない……」
「うぅ……」
「それ、コンプラ的に大丈夫なの?」
 全然大丈夫じゃない。
「……だから代表を辞めようと思ったんだ」
「はぁぁぁ?」
「けど充に止められて」
「当たり前でしょう⁉ 何考えてるのよ! だいたい、そもそも論なのよ」
 そもそも論。それは充も言っていたことだ。なんだ?
「ねえ、私がお見合いしたって聞いてどう思った? 婚活の話を聞いてどう思ったの?」
「焦った……嫌だった……」
「だったらその場で言いなさいよ」
「でも、せっかくまた元通り、糸と話せるようになったのに」
「元通りって何? 一体どこまで戻るつもりよ。私たち、もう7年前に一線を越えているのよ? ただの幼馴染みになんて戻れるわけないじゃない」
「……」
「なかったことには出来ないの。前へ進むか、会わないか。その二択よ」
「そっか……」
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