強面社長は幼馴染のつよつよ教師を一途に溺愛する
「謙吾! 何してんのよ!? 高いっ落ちるーっ!」
「しがみついてろ!」
 言われた通り謙吾の首に手を回し、落とされないように抱きついた。
 そしてそのまま1位でゴール――!
 次から次へとゴールしてくるお父さんたちは、皆子供を抱っこしていた。最後の方には子供を2人抱っこしているお父さんもいる。皆さん一体なんのメモなんだろう?
「えー、ただ今のレースはどのメモも同じ内容でした。『宝ものを抱っこしてゴール』」
 司会のマイクを持った優先生がメモの内容を話す。
 宝もの!?
 謙吾を見ると、ニコリともせず当然のような顔で堂々と立っていた。
「皆さん、お子さんを抱っこされていますねー! おや、先頭の方はみんなの知ってる先生では?」
 きゃー! やめてやめて! 優先生何言うのよ!?
「ずっとお姫様抱っこされているってことは、とっても大切なんですねー」
 どっと会場が沸く。当の本人はコクンと大きく頷いた。
「ちょっと、謙吾下ろしてよ」
 気がつけば抱っこされているのは私だけだった。早く降りなきゃ!
< 72 / 73 >

この作品をシェア

pagetop