人生終了のお知らせが届きました
隣の部屋のドアを開いた孝弘の瞳に、土下座の態勢で肩を震わせている紗理奈が映る。
それは、過去、惨めに頭を下げていた両親の姿と重なり、孝弘にとって胸を刺されるぐらいに辛い光景だ。
「保証人になるなんて、バカのする事だ」
背中越しに降り注ぐ、孝弘の不機嫌そうな声に紗理奈はビクッと肩を震わせる。
そして、おそるおそる顔を上げ、濡れる瞳で孝弘を見つめた。
「タカ兄……」
紗理奈の目に映るのは、深くため息を吐く孝弘だ。
自分でも真帆に騙されるなんてバカなのはわかっている紗理奈だったが、どうしょうもない状況なのだ。
やるせない気持ちになり、再びうつむいた。
(とてもじゃないけど、タカ兄の顔を見れない)
きつい言葉を投げてしまった孝弘は後悔していた。
過去の忌まわしい記憶のせいで、傷ついている紗理奈に、八つ当たりのような態度を取ってしまったからだ。
昔、自分を明るい場所へ導いてくれた少女を助けたいと思っていたはずなのに……。
孝弘は、細く息を吐き出し気持ちを切り替える。
そして、優しい声で紗理奈へ語り掛けた。
「きつい事言って悪かった。泣くな、紗理奈」