人生終了のお知らせが届きました
「お前は俺に借りを返さなきゃいけないのを忘れているみたいだな」
孝弘は、楽し気にハンドルの上で指先をトントンと跳ねさせ、何かを企んでいる様子だ。
返済を肩代わりしてくれた孝弘に、後ろ足で砂を掛けるような真似をするつもりなどない紗理奈は、焦って反論する。
「忘れてなんてないよ。週末にバイトをして、少しずつでも返済させてもらうつもり!」
紗理奈の提案に孝弘は、”ふーん”と言う風に片眉を上げる。そして、何か思いついたのか口元を緩ませた。
「バイトをするなら俺の元で働け。当面、生活に必要な荷物をまとめるんだ。今日から俺の家の住み込み家政婦な!」
「す、住み込みぃ⁉」
突然の提案に、紗理奈は金魚のように口をパクパクさせている。驚きのあまり言葉が上手く出て来ないのだ。
その様子に孝弘はしたり顔だ。
確かに借金を返し終わるまで見張るのには、住み込み家政婦の提案は理に適っている。それに債務者である紗理奈にNOと言えるはずもなかった。
「そう、俺のマンションの空いてる部屋で暮らせ。そうすれば、借金を確実に回収できるからな。逃がさないと言ったはずだ」