人生終了のお知らせが届きました
紗理奈が住むボロアパートは、玄関を開けたら部屋の中身が見渡せる1Kのワンルームだ。
「おい、足りない物は買ってやるから、早くしろ」
買ってやると言われても借金をしている身で、これ以上の負債を増やしたくない。紗理奈は、目につく物を手当たり次第に荷物をカバンに詰め込んでいた。
貧乏性を通り越して、本当に貧乏なのだ。何一つ無駄にしたくない。
「ごめんなさい。もう終わるから、チョット待って」
「アパートを引き払う時にも取りに来れる。それだけあれば十分だ。行くぞ」
「えーっ、もう少し待って!」
紗理奈は焦りながら、狭い部屋の中を右に左に忙しなく動き、カバンを膨らませていた。それはまるで、籠の中を走り回る小動物を連想させる。
「じゃあ、後5秒な。5.4.3.2.1.ゼロ」
「あ、ズルい。全然時間ない!」
「残念、タイムアップ!」
「ひどーい」
「あははっ」
昔のようなやり取りに、紗理奈の心が軽くなる。
いきなり住み込み家政婦と言われ、実のところ少し不安だったのだ。
「ほら、荷物寄こしな。持ってやるよ」
「タカ兄、ありがとう」
孝弘から差し出された大きな手、一瞬だけ触れた指先に紗理奈の意識が集まる。
でも、孝弘は全くと言っていいほど、気にしていない様子だ。
「ん、行くぞ」
「……うん」
「おい、足りない物は買ってやるから、早くしろ」
買ってやると言われても借金をしている身で、これ以上の負債を増やしたくない。紗理奈は、目につく物を手当たり次第に荷物をカバンに詰め込んでいた。
貧乏性を通り越して、本当に貧乏なのだ。何一つ無駄にしたくない。
「ごめんなさい。もう終わるから、チョット待って」
「アパートを引き払う時にも取りに来れる。それだけあれば十分だ。行くぞ」
「えーっ、もう少し待って!」
紗理奈は焦りながら、狭い部屋の中を右に左に忙しなく動き、カバンを膨らませていた。それはまるで、籠の中を走り回る小動物を連想させる。
「じゃあ、後5秒な。5.4.3.2.1.ゼロ」
「あ、ズルい。全然時間ない!」
「残念、タイムアップ!」
「ひどーい」
「あははっ」
昔のようなやり取りに、紗理奈の心が軽くなる。
いきなり住み込み家政婦と言われ、実のところ少し不安だったのだ。
「ほら、荷物寄こしな。持ってやるよ」
「タカ兄、ありがとう」
孝弘から差し出された大きな手、一瞬だけ触れた指先に紗理奈の意識が集まる。
でも、孝弘は全くと言っていいほど、気にしていない様子だ。
「ん、行くぞ」
「……うん」