人生終了のお知らせが届きました
 荷物を積み込み、滑らかに動き出した車は湾岸沿いにある孝弘のタワーマンションに向かう。
上機嫌の孝弘は、ハンドルを握りながら紗理奈に話し掛けた。

「施設を出でからも、内藤真帆以外に付き合いのあるヤツいるのか?」

「真帆の他だと新田真美ちゃんかな。あとは、私の2コ上の佐竹(みつる)クンとは、会社が一緒で良く話すよ」

やんちゃだった男の子の顔が、孝弘の脳裏に浮かぶ。

「へぇー、満か」

「あっ、私、これからも仕事……続けても良いんだよね」

 ただの事務員だし、特別好きな仕事という訳じゃないが、たいして学歴もない自分を正社員で雇ってくれる貴重な会社だ。紗理奈は、先々の事も考えると辞めたくなかった。

「ああ、別に構わない」

「良かった。頑張って返済するね」

胸の横で小さくガッツポーズをする紗理奈へ、孝弘はぶっきらぼうに答える。

「別に急がなくていい」

 孝弘が、住み込み家政婦の案を出したのは、紗理奈の住むアパートがあまりにも酷い環境だったから。
あんなセキュリティガバガバの所に住まわせて、妹分の紗理奈に何かあったらと目覚めが悪い。
返済を口実に連れて来たのだ。

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