人生終了のお知らせが届きました
金港町のポートサイド地区にある、タワーマンションの最上階。広いリビングにある大きな窓から見える眺めは最高だ。
夜の帳が落ち、キラキラと輝くみなとみらいが一望できる。それは、まるで旅行パンフレットや絵葉書のよう。紗理奈の口からは感嘆のため息が漏れた。
「すごい……」
「紗理奈、玄関入って直ぐの部屋を使え。ベッドも入っているし、鍵も掛かるぞ」
「うん、ありがとう。こんなにすごい部屋で暮らしているなんて、タカ兄、頑張ったんだね」
素直に感心する紗理奈を前に、孝弘は褒められた暮らしなどして居ないと、眉尻を下げる。
お金のために、なりふり構わず仕事をしていた。それこそ、他の弁護士が引き受けないダークな案件も引き受ける事がある。
「……ダメな大人の見本だ」
「そんなことないよ。今日だって、私、タカ兄が居なかったら大変な事になっていた……」
その言葉を口にした途端、生臭い息を吹き掛けられた出来事が脳裏によみがえり、紗理奈はブルッと身を震わせる。
それもこれも、すべての原因は借金を押し付けられたせいだ。真帆への沸々と怒りが湧いてくる。
「真帆は最初っから私に借金押し付けて、逃げるつもりでサインさせて、私がどうなっても構わないと思って逃げたんだよね」
「こんな事言いたくないが、金が絡むと人間の本性が出る。真帆は自分のためなら、友人を簡単に売れるようなヤツだったって事だ」
「……親が居ない者同士、助け合おうって真帆と約束したの。それなのに、真帆は私が男達におもちゃにされても構わないって、借金を押し付けて消えたんだよね」
紗理奈は言葉に詰まり、唇を噛みしめた。