人生終了のお知らせが届きました
 今にも瞳から溢れそうになる涙を必死に堪える紗理奈の様子に、孝弘は切なさを覚えた。
 かすかに振るえる紗理奈の肩が小さく見えて、思わず手を伸ばし、グッと胸元へ引き寄せる。
 
「ひまわり園を退所した時、紗理奈と連絡先の交換をしておけば良かった。そうすれば、相談に乗ることも出来たのに……。」

「うん……。タカ兄と会えなくなってからずっと寂しかった」

「紗理奈の事は、俺が守る。だから、大丈夫だ」

「……タカ兄」

 離れていた時間を振り返り、細く小さな少女の手を離してしまった事に、孝弘は後悔のため息を吐きだした。

「俺がもっと、気を配っていたら……。それに、ひまわり園にも顔を出して声を掛けていれば、紗理奈が借金を被せられる事もなかったはずだ」

「ううん、タカ兄のせいじゃないよ。私の考えが甘かったんだ」

 内藤真帆に、都合よく振り回されていると自覚していたのに、心のどこかで『私たち、親友だよね』という言葉を信じてしまっていた。その考えの甘さに付け込まれ、騙される結果を招いてしまったのだ。

「紗理奈……」

「今日だって、タカ兄がいなかったら……。昔からタカ兄には助けてもらって、迷惑ばかり掛けてごめんなさい」

「迷惑だなんて思ってないから、気にすんな。今日は、ゆっくり休んで元気になれ。家政婦の仕事も無理のない範囲でかまわない」

「ありがとう。私、頑張るね」
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