人生終了のお知らせが届きました
 軽口を叩いて笑い合っているうちに、紗理奈はふと真帆の事を満に聞いてみようと思った。

「ねえ、最近、施設で一緒だったみんなと連絡取ってる?」

「そうだな。同学年だった酒井や田中とは、たまに飲みに行っているよ」

「女子とは?」

「うーん、紗理奈以外の女子とは、疎遠になっているかなぁ」

「そうか……」

「どうした?何かあったのか?」

 真帆に300万円もの借金を押し付けられ、逃げられたとは言い難い。
 それを話せば、助けてくれた孝弘の家に居候をさせてもらっている事まで知られてしまう。
 できあがった男女ならともかく、債権者と債務者の関係だなんて、寒々すぎて説明できない。

「えっと、実は内藤真帆に大事な物を貸していたんだけど、連絡が取れなくなっちゃって……。どうしても返してもらいたいから、行方を知っていたら教えてもらおうかと思って」

「内藤かー、誰か心当たりが無いか聞いてみるよ」

「ありがとう」

「それにしても、何を貸したんだよ」

「えっ、えっと、それは……」

 満からのツッコミに焦っていると、タイミング良く、中年男性の声が割って入ってくる。

「相変わらず仲が良いね。ふたりは付き合っているの?」

声の主は、営業課の山崎課長だ。最近、中年太りで背広のズボンにお腹が乗っていると娘に叱られ、ショックを引きずるガラスの40代(お年頃)

「山崎課長、私たちただの幼なじみですよ」

 紗理奈の言葉に満がくしゃりと笑い、冗談めかしで言う。

「そうそう、ただの幼なじみ。だけど、そっと見守る心遣いが欲しいっすね」
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