人生終了のお知らせが届きました
「えっ!?」と紗理奈は小さくつぶやくと同時に山崎課長は話し出す。
「余計な事言って、悪い悪い。これからは気をつけるよ。こういう所が娘にウザがられるんだよろうな」
ショボンと肩を落とす山崎課長が、オジサンなのに可愛く見えてしまい、紗理奈はクスッと笑ってしまう。
満もニコニコと笑ったままだ。
さっき、満が気のあるような発言をしたのは、冗談の延長だったようだ。自惚れがすぎるようで、紗理奈はなんだか恥ずかしくなってしまい、早口でしゃべりだす。
「娘さんは、素直になれないお年頃なんですね。きっと、気持ちは伝わっています。反抗期が終われば、仲良し親子に戻れますから大丈夫ですよ」
父親として娘との関係を悩む山崎課長の姿は、紗理奈にとって理想の父親像を連想させた。
両親が揃い、軽口を言い合える温かな家庭は、紗理奈にとって憧れの暮らしだ。
いつか、自分も温かな家庭を築けたら……と考えてしまう。
「反抗期か、なんでだか父親がバイ菌に見えるフィルターが掛かるんだよね。はーぁ」
ますます小さく肩を落とす山崎課長に、満が明るく話し掛ける。
「来週は会社の親睦会があるじゃないですか。パァッと飲んでストレス発散するとイイっすよ」
「ああ、楽しみだな!」
「あっ、もうこんな時間。おしゃべりしているとお昼休みが早いですね」
時計を見ると12時50分になろうとしている。
「ヤバい、急げ」
三人は午後の仕事に向けて立ち上がった。