人生終了のお知らせが届きました


 高く舞い上がる水しぶきとともにコースターが水中に消えていく、超エキサイティングな絶叫系ダイビングコースターから降りたふたりは、一瞬、顔を見合わせた後、緊張がとけたのか「あはは」と笑い合う。
 
「思っていたより、凄かった」

「うん、メッチャ怖かった」

「あはは、紗理奈ってば、すっごい顔して叫んでいたな」

「うわー、恥ずかしい! でも、暗闇の中に吸い込まれるみたいに入って行くんだよ。絶対に、叫ぶでしょう!」

 ここの施設は長時間並ばなくても、乗り物に乗車出来るタイミングが早い。遊びとしての効率も良く、園内の目立つアトラクションを制覇する勢いで乗り尽くした。はしゃぎ過ぎた二人は、ヘトヘトだ。

「最後に、クールダウンも兼ねて観覧車に乗ろうか」

「私、ずっとココの観覧車に乗ってみたかったの」

 観覧車のコスモクロック21は時計の役割も果たす、みなとみらいのシンボル的存在だ。

「地元で暮らしていると、わざわざ乗らないよな」

「うん、外から見るばっかりで、なかなか乗る機会が無いよね」

紗理奈は、デートの定番であるコスモワールドで遊ぶのも初めての出来事。
多くないお給料を近所の遊園地に充てる余裕など無かった。
紗理奈にとって、みなとみらいの観覧車は、いつも眺めているだけの憧れの乗り物だった。

「じゃあ、お互い初めてだ」

「うん」

荷物持ちを指名された時、こんなに楽しい休日になるなんて、想像もしていなかった紗理奈は嬉しくて仕方ない。地に足が着いて居ないのか、何もない所で足が引っ掛かってしまう。

「キャッ!」
 
「あぶない!」

 そう言って、孝弘は大きな手をスッと伸ばし、紗理奈を支えた。
孝弘の腕から熱が伝わり、紗理奈の鼓動は早く動き出す。

「ありがとう」

「ほら、転ばないように支えてやるよ」

 そう言って、孝弘の大きな手が紗理奈の手をとる。繋いだ手のひらが、やけに熱く感じられた。
 紗理奈は熱くなった顔を隠す事も出来ず、観覧車乗り場へと続く階段を上り始めた。
1段1段と足を踏み出す度に、心臓が早くなるような気がする。

(こんなにドキドキしている……。タカ兄に心臓の音が聞こえてしまいそう……)
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