人生終了のお知らせが届きました
 ゴンドラのドアが閉まると、見る見るうちに地面が遠ざかって行く。

「……スゴイ景色。お腹の奥がキュッとする」

 あっという間に地上に居る人が蟻ん子みたいに小さくなり、さっき乗ったコースターもオモチャのようだ。
 絶叫系とは違うジワリとした怖さに違う意味で心臓がバクバクと言っている。

「ジェットコースターは平気だから高所恐怖症では無かったはず、でも怖い」

「ごめん、ごめん。紗理奈が、こんなに怖がるとは思わなかったよ」

孝弘は向かいの席から紗理奈の隣へヒョイッと席を移る。
 ふたりの間はピッタリと密着状態だ。
孝弘からフワリと漂うエキゾチックな香りに紗理奈の鼻腔はくすぐられる。

(わっ、はわわ。ち、近いっ!)

スケルトンでビビッていた紗理奈だったが、今はそれどろこじゃない。孝弘との近すぎる距離に紗理奈は気もそぞろな状態。
 おまけに、怖がる紗理奈を気遣い、孝弘が大きな手で髪を撫でつけるものだから、紗理奈の心臓は大きく波打つ。

(心臓がこわれそう)

「ごめん。後10分ぐらいは、我慢な」

息の掛かる距離で、孝弘の甘みのある低音ボイスが聞こえてくる。
それに、耳ばかりでなく、心までもくすぐられてしまう。
 
「うん、大丈夫」

(こんなに優しくされると、勘違いしてしまいそう……)


 
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