人生終了のお知らせが届きました
「うん。他人を羨んでもしょうがないんだけど、進学や就職とか、何か節目の出来事がある度に、親が居ればもっと選択肢が増えたんだろうなって、思ったりする。何かあった時、頼れる人が居ないのは不安だよね」

 不安を吐露する紗理奈を慰めるように、孝弘の大きな手がポンポンと紗理奈の頭を撫でた。
その手の優しさから、元気づけようとしてくれるの伝わる。

「今回の借金のことだって、ひとりでどうしようも無くて……。あの時、タカ兄が助けてくれなかったら、もう少しで取返しのつかない事になっていた」

10年ぶりにふたりを引き合わせた件。それは紛れもなく、借金の取り立て。
頼れる人が居ない紗理奈は、騙されたとはいえ、迂闊にも保証人の欄にサインをしたのがトラブルの発端だ。借り入れ先がたまたま、孝弘の仕事先であるスマイルローンだったから、どうにか難を免れたのだが、他の金融機関だったら完全にアウトだ。

「たまたま仕事で居合わせて良かったよ。保証人になった事で、背負わなくていい苦労をするところだったんだぞ」

「まさか、子供の頃から一緒に居た真帆に騙されるなんて思ってもみなかった……ホント、怖かった」

「人間、金が絡むと親や兄弟の間柄でもトラブルになる。お金にまつわる事には用心深いぐらいで、ちょうどいいんだ」

「うん、これからは肝に銘じて気をつけます」

 そうこうしているうちに、観覧車のゴンドラは低くなり、地上へと舞い戻って来た。
 

 
 





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