人生終了のお知らせが届きました
 可愛いクマ柄パジャマ姿の孝弘をコッソリ想像して、紗理奈の口元はニヤニヤと緩ませていた。
 すると、孝弘の声が聞こえて来る。

「紗理奈。お前、今夜からコレ着て寝ろよ」

「えっ!?  私のパジャマなの?」

「当たり前だ。俺がこんな可愛いデザイン似合うわけないだろ」

「そうかな? 意外と似合うと思うよ」

 首をかしげる紗理奈に、孝弘は渋い顔をする。

「とにかく、これはお前のだ」

 体操服の短パンからむき出しの生足は、酷く艶めかしい。無意識に誘惑している事に紗理奈は気づいていないのだ。
 それならば、見なくて良いようにと、パジャマを着せて隠してしまう作戦だ。
 だが、孝弘の作戦に紗理奈は異を唱える。

「私だったら体操服で十分だよ。寝るだけなのに、もったいないよ」

 もったいないオバケの出現だ。
 孝弘は思わず天井を仰ぐ。

「あんな学校指定の体操服で、部屋ん中歩かれるのは、JKをたぶらかしているみたいで、どうも落ち着かないんだ」

 それを聞いた紗理奈は、プッと吹き出す。

二十歳(はたち)越えているし、たぶらかされても居ないから大丈夫だって」

 どうしてもパジャマを着せたい孝弘は、意地悪そうに片眉を上げ、紗理奈の耳元でささやく。

「じゃあ、たぶらかされてみるか?」
< 38 / 51 >

この作品をシェア

pagetop