人生終了のお知らせが届きました
 こそばゆくなった耳を抑えた紗理奈は、ボッと火が付いように顔を赤くした。
 冗談だと思っていても、こんな時、どうしたらいいのかわからずに、アワアワしてしまう。

「パ、パジャマ着ますっ! 私、自分で買いますっ‼」

 孝弘が手にしていたクマ柄のパジャマを引ったくり、紗理奈は一目散にレジへと突き進む。
背中越しにクスッと聞こえてくる。

(もう、人の事からかって!)

まだ頬の熱が引かない紗理奈は、何気なく振り返り、孝弘の様子を伺った。すると、孝弘は着信があったのか、ポケットからスマホを取り出し、足早に店の外へ向かって行くのが見える。

いつも忙しくしている孝弘が、せっかくの休日に買い物と称して出かけたのは、自分を元気付けようとしてくれている思いやりからだと、紗理奈にはわかっていた。
ただ、その優しさが切なくなる。
妹分ではなく、一人の女性として、気持ちを向けて欲しいと思ってしまうのだ。
 
(そばに居させてくれるだけでも、感謝しなければいけないのに、近づけば近づくほど欲張りになってしまう。
 タカ兄には、私なんかじゃなく、落ち着いた大人の女性が似合うのに……)
< 39 / 51 >

この作品をシェア

pagetop