人生終了のお知らせが届きました
 お互い施設出身、お財布の事情はよくわかって居る。とてもじゃないけど、300万円もの大金が必要とは言えない。
 
「う、うん。気持ちはありがたいんだけど、やっぱり、借りた人から返してもらいたいんだ」

「紗理奈がそう言うなら、しょうがないか。あっ、真帆の働いているお店。この辺りのビルの2階みたいだ」

 満が、スマホの地図アプリの表示を見ながら立ち止まった。
 すると、男の人にエスコートされ、タクシーから降り立つ真帆を見つける。

「おい、あれ真帆じゃね」

 タクシーから降りた真帆は、胸元が露出したセクシーなワンピースに身を包み、ブランドのバッグを男性に預けていた。その姿はまるで、従者を従える女王様のよう。
 
(人に借金を押し付けて、何でもない顔で暮らしているなんて!)

 紗理奈の中で押さえつけていた怒りが、沸き上がってくる。
 怒り心頭の様子の紗理奈を満が呼び止めた。
 
「紗理奈っ」

 その声に紗理奈の存在に気づいた真帆は、バカにしたように鼻白む。

「あら、元気そうじゃない」

 多額の借金を押し付けて置きながら、悪びれる様子もない真帆に向って、紗理奈は大きく手を振り上げた。

「いいかげんにしてよ!」
 
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