人生終了のお知らせが届きました
 真帆の言う通り、筋肉質でガッチリとした身体つきの白石に、満は緊張した面持ちでゴクッと玉唾を飲み込み構えの態勢をとった。
 だが、隙のない白石にまったく勝てる気がしなかった。
 
 空気がピンと張りつめる。
 しかし、その緊張を破ったのは、意外にも白石だった。

「暴力を振るうつもりはないし、どうせ捕まえるなら、こっちかな?」

 そう言って、紗理奈の手首を離し、真帆の手首を掴む。

「なにやってんのよ⁉」

 慌てる真帆の手を掴んだまま、白石は人のよう良さそうな笑顔を浮かべる。

「いや、実は債務者の確保を依頼されていまして……そうですよね。氷室先生」 

 白石の声に反応して、黒塗りの高級車から降り立ったのは、孝弘だ。

「タカ兄……」

 驚く紗理奈の肩に、孝弘はそっと手を掛けた。

「あぶないマネするな。それにどんな理由があるにせよ。先に手を出したら傷害罪で捕まっても文句が言えない立場になるんだ」

 さっき、白石が紗理奈の腕を掴んだのは、紗理奈のためだった。
 白石は孝弘の指示の元、真帆を確保するために動いていた探偵だったのだ。

「……つい、カッとなって、ごめんなさい」

「わかればいい」
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