人生終了のお知らせが届きました
 白石に腕を掴まれる真帆は、金切り声をあげる。

「いったい、どういう事なのよ! 離してよ!」

罪の意識も無くうるさく騒ぐ真帆に、孝弘は怒りを抑え低い声で話す。

「離したら逃げるだろう。これから事務所へ行って、債務不履行の手続きをしてもらう。借金は借りた人間が返す。コレ、基本だろ。それに保証人の欄は、騙して書かせた場合は無効にする手続きが取れるんだよ」

「イヤよ!お金なんて使っちゃったから払えないわ」

「金銭債務に不能なし。スマイルローンの方々が、手ぐすねを引いて待機しているぞ」

 白石に運ばれている最中、真帆は最後の悪あがきとばかりに叫ぶ。

「紗理奈、助けて!わたしたち親友でしょう⁉」

 その言葉は、紗理奈の心に爪を立てた。

「私はね、親友ってお互いを思いやって助け合える関係だと思っていたの。だから、お互いに親が居ない者同士助け合えたらって思っていた……」

「じゃあ、助けてくれるよね」

 嬉しそうに顔を上げる真帆に向って、紗理奈はゆっくりと首を横に振る。

「真帆の言う親友って、自分にとって都合の良い人って事なんだよね。人を陥れた挙句、付き纏われて迷惑とまで言われて、すごく悲しかったし、ショックだった。そんな事を言う人は、親友でも無ければ、友達ですらない。真帆とは、おしまいにする。」

真帆は信じられないと、目を見開く。
その瞳からボロボロと大粒の涙がこぼれ落ちた。

「いやぁあ、ごめんなさい、ごめんなさい。何でもするから助けて!」

 泣きじゃくる真帆に向って、孝弘が冷たく言い放つ。

「何でもすると言うなら、先ずは借金の返済だな」

 返す言葉もなくガックリ肩を落とした真帆は、黒塗り乗用車に押し込められた。車のガラス越しに、悲しそうに顔を歪ませた紗理奈が見える。
 
「さようなら、真帆」

 やがて、真帆を乗せた車はゆっくりと動き出し、紗理奈の視界から遠ざかって行く。
 

 
 
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