人生終了のお知らせが届きました

そして、ふたりは

 ポートサイドにある部屋に戻った孝弘は、ゆったりとソファーに腰を下ろした。だが、横に座った紗理奈はそわそわと落ち着かない。
 
「あの、タカ兄……もしかして、ずっと帰りが遅かったのって……」

「そうだ。仕事の合間に、あらゆる伝手(つて)をたどって、内藤真帆の行方を追っていた。前にみなとみらいで会った女性(ひと)も情報提供者の一人だよ」

 てっきりデートをするような間柄だと勘違いをして、気分を落ち込ませたのを紗理奈は思い出した。
 
「その女性(ひと)が内藤真帆の勤務先の情報をくれたんだ。念には念を入れ、探偵を入れ、二度と逃がさないように調査を進めていた。その結果、内藤真帆はホストに貢いでいたのがわかった。友人を陥れて、その金でホスト遊びをするなんて人として終ってるよ」

過去のトラウマから、借金を踏み倒すような輩に嫌悪感がある孝弘が、真帆を許せるはずもなかった。

「うん、私を騙して借金を背負わせて、ホストに貢いでいたなんて許せないよ。でも、真帆には1つだけ感謝しているの」

自分を陥れた相手を憎みこそすれ、感謝など出来るはずがない。紗理奈の意外なセリフに、孝弘は目を見開いた。
だが、紗理奈は両手を動かし言葉を続ける。

「真帆の事がきっかけで、タカ兄とまた会えたんだもの。私……子供の頃からずっと、タカ兄が好きなの」

 借金という負い目が無くなった今、紗理奈は勇気を振り絞り、やっと告白が出来た。
もしかしたら、『妹にしか、思えない』と言われるかもしれない。
 それでも、気持ちを伝えたかった。

 「紗理奈は、バカだな……」

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