人生終了のお知らせが届きました

 300万円の返済が、一生だなんて、むちゃくちゃだ。でも、借用書がある以上どうしようもできない。

 こわーいお兄サン達は「わかりました」という選択肢しか無いとばかりに、威圧感を醸し出している。
 ただの小娘がお金を稼ぐ手段なんて、身を売るぐらいしかお金を稼ぐ手段がない。
 だが、それを受け入れたなら、紗理奈が夢を見ていた、いつか好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたいと言う、願いを手放さないといけなくなってしまう。
 
 紗理奈は膝の上に置いた手をギュッと握り込み、唇を噛みしめた。
 押し黙る様子に焦れたのか、隣に座っているこわーいお兄サンは、紗理奈の肩を掴み、顔をジッと覗き込んで来る。

「おい、返事は? ……なんだ、泣いてんのか」

 紗理奈は、こんな奴らに泣いているところを見られたくないと、そっぽをむいた。しかし、こわーいお兄サンは紗理奈の顎を掴み顔を押さえつけ、ニヤニヤと顔を近づける。
 そして、紗理奈の顔から黒縁メガネを無理やり外し、息のかかる距離まで顔を寄せる。
 顔を逸らしたくても顎を抑えつけられ、睨み返すのが精一杯の抵抗だ。

「へー、メガネが無いとわりかし可愛いじゃん。これなら早く返済出来るんじゃね。ヨッシャ、味見させてもらおうか」

 そう言って、こわーいお兄サンはニヤつきながら、紗理奈の柔らかな頬をぺろりと舐め上げた。
 とたんにゾワリと鳥肌が立ち、体が拒否反応をしめす。

「いやっ!」

「おい、ひとりでイイ思いをすんなよ。オレも交ぜろ」

 もう一人の男も腰を浮かせ、近づいて来る。
 紗理奈は、顔を引きつらせながら、必死に手足をばたつかせる事しか成す術がない。

(こんな場所で、こんな男達にハジメテを捧げるなんて、絶対にイヤ! 誰か、助けて……)
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