人生終了のお知らせが届きました

 山本と深井と呼ばれたこわーいお兄サン達は、これまた強面の社長に窘められ、平身低頭の態勢を取っていた。
 強面社長の横には、弁護士の先生が冷たい瞳で、その様子を眺めている。
 弁護士の先生にしては、180cmはあろうかという高身長。鍛えあげられた体躯に細身のスーツが良く似合っていた。彫りの深い目鼻立ちの整った端正な顔立ちは、綺麗な故に凄味がある。
ただ、紗理奈はその顔に見覚えがあるような気がして、ぱちぱちと瞬きをくり返した。
(でも、そんな……まさか……。)

「タカ兄……?」

 小さくつぶやいた言葉に反応するように、弁護士の男は切れ長の目を訝し気に細め、何かに思い至ったのか大きく目を見開く。

「もしかして、紗理奈か?」

「うん……」

 タカ兄こと、氷室孝弘は、紗理奈が居た児童養護施で同じ釜の飯を食べた仲だ。
 とは言っても紗理奈が10歳の時に、16歳の孝弘は児童養護施設から父親のもとへ引き取られ、離れ離れに……。
 その後、孝弘の消息を紗理奈は知らなかった。

(10年ぶりの再会が、こんな場所だなんて、神様は残酷だ。)

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