人生終了のお知らせが届きました
「この女、氷室先生の知り合いですか?」
「ああ、昔の……」
「そうですか、何やら債権回収の関係で連れて来たみたいで……。先生にはお見苦しい所をお見せしました。お話は、こちらの部屋でしましょう」
「……わかりました」
そう言って、孝弘は紗理奈を一瞥すると、奥の部屋へ消えて行く。
(私にとってタカ兄は大切な思い出だったけど、タカ兄にしてみれば私なんて……どうでもいい存在なんだ)
パタンと音を立てて、無情にもドアが閉まる。
紗理奈は再び、こわーいお兄サンふたりに囲まれた。
「へー、高橋サン。弁護士先生と知り合いなんだ。その割には冷たくあしらわれていたよなぁ」
山本の言葉が胸に突き刺さり、紗理奈はうつむきながらポソリとつぶやいた。
「……子供の頃の知り合いだっただけです」
男達は、紗理奈を揶揄うように話し続ける。
「そうか、あの先生、借金を返さないヤツには容赦ないって評判だしな。さすがにオレらみたいな金融屋と一緒に仕事をするだけの事はあるぜ」
「そうそう、高橋サンも借金返さないと、弁護士の先生に嫌われちゃうよ」