お嬢様は“いけないコト”がしたい
帰りの電車の中、扉の近くの所で幸治君に抱き締められながら揺られていく。
「こんな所を幸治君の知り合いに見られたら大丈夫・・・?」
「一美さんが“いけない格好”をしているのでそれを隠してますって言うので大丈夫です。」
それには思わず笑いながら、自分の姿を見下ろそうとした。
そしたら胸の所で抱き締めているブタちゃんネコで自分の姿は見えなかった。
つぶらな瞳で幸治君に抱き締められている私のことを見詰めるブタちゃんネコ。
なんでかお店で並んでいた時よりも更に可愛く見えてくる。
「他の普通のネコちゃんとこんなにも違う姿だったのに、このネコちゃんは“普通”にみんなと一緒に並んでたね。」
「・・・そうでした?
どこをどう見ても“普通”ではなく不細工な顔で並んでましたけど。」
「お顔はそうかもしれないけど、後ろに下がることなく顔を隠すわけでもなく、みんなと一緒に並んでた。」
「店員がそう並べたんでしょうね。」
「それはそうだろうけど、私もこの子みたいな子どもになってくれるように我が子を育てたいな。」
“中華料理屋 安部”だった頃の幸治君を思い出し、そして小関一美だった頃の自分も思い出しながら、“普通”ではないブタちゃんネコを見下ろす。
「他の人と特別“何か”が違っても、後ろに下がることもなく顔を隠すこともなく、特別“何か”が違う状況でもちゃんと歩いていける子に育てたい。」
「・・・一美さんの子どもは財閥の人間になるわけですし、特別ですからね。」
幸治君がそう言って、スッと私の身体から両手を離した。
それには身体が一気に熱を失ったくらいに冷たくなる。
幸治君を見上げると優しい顔でブタちゃんネコを見下ろしていて、優しくブタちゃんネコの頭に片手を置いた。
「お前は“普通の幸治君”と“普通の一美さん”の子どもでそんなに不細工で生まれちゃったけど、これからも後ろに下がることもなく顔を隠すこともなく育つんだぞ?」
そう言って優しい顔で笑っている幸治君を見上げ続けたまま私は片手を幸治君の背中に回し、幸治君の肩に自分の頬をつけた。
「こんな所を一美さんの知り合いに見られたら大丈夫じゃないですよね?」
「私が“いけない格好”をしているので隠して貰っていますって言うから大丈夫・・・。
隠して、幸治君・・・。」
そう言って幸治君の身体に強く身体を寄せる。
「私は今は“普通の一美”だから、こんな“いけない格好”だと恥ずかしくなってきちゃった。
だから私のことを隠して・・・。
今は幸治君が私の旦那さんでしょ・・・?」
どんどん冷たくなっていく身体を感じながら幸治君に言うと、幸治君はまたゆっくりと私のことを抱き締めてくれた。
「その不細工なネコも可愛く見えてきました。」
「私達の元に生まれてきてくれたみたいだから、それは可愛いでしょ。」
このブタちゃんネコを私達の赤ちゃんのように接した幸治君の姿を思い出し、こんなにも幸せだと思った。
「一美さんと早く気持ち良い“いけないコト”をしたい・・・。
もうマジで我慢出来ない・・・。
コンビニの避妊具、買い占めてもいい?」
「それは・・・“いけないコト”っていうよりも恥ずかしいよ・・・。」
小声だけど楽しく思いながらそう伝えたのに・・・
幸治君は本当にコンビニの避妊具を“普通”に買い占めていた。
「こんな所を幸治君の知り合いに見られたら大丈夫・・・?」
「一美さんが“いけない格好”をしているのでそれを隠してますって言うので大丈夫です。」
それには思わず笑いながら、自分の姿を見下ろそうとした。
そしたら胸の所で抱き締めているブタちゃんネコで自分の姿は見えなかった。
つぶらな瞳で幸治君に抱き締められている私のことを見詰めるブタちゃんネコ。
なんでかお店で並んでいた時よりも更に可愛く見えてくる。
「他の普通のネコちゃんとこんなにも違う姿だったのに、このネコちゃんは“普通”にみんなと一緒に並んでたね。」
「・・・そうでした?
どこをどう見ても“普通”ではなく不細工な顔で並んでましたけど。」
「お顔はそうかもしれないけど、後ろに下がることなく顔を隠すわけでもなく、みんなと一緒に並んでた。」
「店員がそう並べたんでしょうね。」
「それはそうだろうけど、私もこの子みたいな子どもになってくれるように我が子を育てたいな。」
“中華料理屋 安部”だった頃の幸治君を思い出し、そして小関一美だった頃の自分も思い出しながら、“普通”ではないブタちゃんネコを見下ろす。
「他の人と特別“何か”が違っても、後ろに下がることもなく顔を隠すこともなく、特別“何か”が違う状況でもちゃんと歩いていける子に育てたい。」
「・・・一美さんの子どもは財閥の人間になるわけですし、特別ですからね。」
幸治君がそう言って、スッと私の身体から両手を離した。
それには身体が一気に熱を失ったくらいに冷たくなる。
幸治君を見上げると優しい顔でブタちゃんネコを見下ろしていて、優しくブタちゃんネコの頭に片手を置いた。
「お前は“普通の幸治君”と“普通の一美さん”の子どもでそんなに不細工で生まれちゃったけど、これからも後ろに下がることもなく顔を隠すこともなく育つんだぞ?」
そう言って優しい顔で笑っている幸治君を見上げ続けたまま私は片手を幸治君の背中に回し、幸治君の肩に自分の頬をつけた。
「こんな所を一美さんの知り合いに見られたら大丈夫じゃないですよね?」
「私が“いけない格好”をしているので隠して貰っていますって言うから大丈夫・・・。
隠して、幸治君・・・。」
そう言って幸治君の身体に強く身体を寄せる。
「私は今は“普通の一美”だから、こんな“いけない格好”だと恥ずかしくなってきちゃった。
だから私のことを隠して・・・。
今は幸治君が私の旦那さんでしょ・・・?」
どんどん冷たくなっていく身体を感じながら幸治君に言うと、幸治君はまたゆっくりと私のことを抱き締めてくれた。
「その不細工なネコも可愛く見えてきました。」
「私達の元に生まれてきてくれたみたいだから、それは可愛いでしょ。」
このブタちゃんネコを私達の赤ちゃんのように接した幸治君の姿を思い出し、こんなにも幸せだと思った。
「一美さんと早く気持ち良い“いけないコト”をしたい・・・。
もうマジで我慢出来ない・・・。
コンビニの避妊具、買い占めてもいい?」
「それは・・・“いけないコト”っていうよりも恥ずかしいよ・・・。」
小声だけど楽しく思いながらそう伝えたのに・・・
幸治君は本当にコンビニの避妊具を“普通”に買い占めていた。