お嬢様は“いけないコト”がしたい
「あのバー、幸治君の行きつけのバーなのかと思ってた!!」



あの後、度数の高いカクテルを1時間で3杯飲み、そこでも幸治君からご馳走して貰った。



3杯も飲んだのに酔い潰れることはなかった。



しっかりと歩きながらまたさっきの駅へと向かっていく。
しっかりと歩いているはずのに、“やけに駅に着くまでに時間が掛かるな”と思いながら。



“ずっと着かなければいいのに”とも思いながら。



「あのバーを探すのも大変だったんですよ。
職場のスタッフみんなで、トップの人がお酒を飲んでる気分になれるお店を探しまくって。
たまにある職場の打ち上げの二次会で利用したり、たまに俺のことも連れて行ってくれたりもしましたけど・・・。
でも、あそこでもみんなお酒を飲むことを禁じられていましたからね!?
俺もあそこのお店で初めてお酒飲みましたよ!!」



幸治君が叫ぶように愚痴を言った。
それに私は笑いながら頷く。



「バーの人も、“あんなに煩くて面倒でヤバいお客さんはなかなかいない”って、笑いながら文句言ってたもんね?」



「本当にヤバい奴なんですよ、あの人!!
めちゃくちゃ稼がせて貰って世話もして貰ってこんなことを言うのはアレですけど、あの人の為に俺毎朝6時には起きて朝ご飯を作って職場に持っていってたんですよ!!
1食5千円の手当ては貰っていましたけど、酷い時は昼ご飯も夜ご飯も俺が作ってマンションで食べさせて!!
俺を職場の近くに住まわせてるのは俺が作るご飯目当てなだけなんですよ!!」



そんな話に私は大笑いを続けながら幸治君の横顔を見上げ続ける。
“凄く楽しいな”と思いながら。
文句を言いながらも幸治君が凄く楽しそうに笑ってもいる横顔を見上げながら。



「それにあの人、まずロリコンというヤバさも持っている人で。
当時高校1年生の女の子、9歳も年下の女の子のことが大好きで。」



そんな話には自然と笑いが引け、幸治君から視線を逸らした。
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