お嬢様は“いけないコト”がしたい
咄嗟にその“いけないトコロ”を左手で押さえる。
瞳を揺らすことなく熱が籠った目で私のことを真剣に見詰めてくる幸治君に、言う。
「幸治君が触れていたこのハンカチを唇につけただけで、私の“いけないトコロ”がキュッてしちゃう。
こんなの変な姿だよね、気持ち悪いオバサンだよね、私・・・。
なんか、ごめんね・・・?」
涙を流し続けながら謝った私に幸治君は無言で近付いてきた。
そして真面目な顔で私のすぐ目の前に立ち、私のことを見下ろしてくる。
「変な姿でも気持ち悪いオバサンでもないですから。」
そう言ってくれた幸治君に、唇にタオルハンカチをつけたまま何度も頷く。
そんな私を幸治君は嬉しそうな顔で笑い、そして・・・
私の右手をハンカチごと優しく包みソッと下に下ろしてきた。
「どんな理由だとしても、人の借金を代わりに返すなんて言ったらダメですよ。」
「だって、私お金ならあるから・・・。
むしろお金しかないから・・・。
2年前に会った時の29歳の身体でもなく、私31歳になっちゃった・・・。
23歳の幸治君からしてみたらオバサンだよね・・・。
私が23歳の時の31歳の人とか、“オバサンだな”とか“オジサン”だなって内心思ってたもん。」
「それ、俺の職場のトップの人にも言ってやってくださいよ。
オジサンのくせにあの人調子乗ってるので。
あ、でも・・・」
言葉を切った幸治君が私の顔を見詰めながら・・・
私の唇を見詰めながら・・・
瞼を少しだけ下ろしながら、ゆっくりと私の顔に顔を下ろしてきた・・・。
タオルハンカチごと包み込んだ私の右手を少しだけ強めに握りながら・・・
「やっぱり、あの人に言わないでください。
芸能人かっていうくらいのイケメンなうえに外面は良くて、仕事も出来るし稼いでもいて、更には名医のご両親を持ち恋愛経験豊富な大人の男なので。」
あんなに楽しそうに悪口を言っていた幸治君が、その人のことをこんなに褒め・・・
幸治君の唇と私の唇が触れ合うかのギリギリの時、幸治が小さくだけど囁いてきた。
「あの人と会って羽鳥さんがあの人のことを好きになっても、叶わない恋をする羽鳥さんが可哀想なので・・・。
俺、羽鳥さんが幸せになっていればいいなと思っていました。
他の女の子なんて少しもいませんでしたけど、羽鳥さんのことだけは忙しすぎる中でも考えていました。」
そんなことを私の唇を見詰めながら囁いてきて・・・
「俺・・・高校の時、羽鳥さんのことが好きでした。
憧れとかそんなんじゃなくて・・・俺、羽鳥さんのことが凄く・・・凄く好きでした・・・。
すみません・・・なんか、本当にすみませんでした・・・。」
幸治君がそう言って・・・
そんな謝罪をして・・・
私の唇に・・・
私の唇に、自分の唇をつけることはなかった。
私の唇のすぐ横、そこにほんの少しだけ唇をつけた・・・。
私の唇の横に幸治君の唇が触れた・・・。
触れてくれた・・・。
“凄く嬉しい”と思った・・・。
でも、“凄く苦しい”とも思った・・・。
なんでか、そんなことを思った・・・。
瞳を揺らすことなく熱が籠った目で私のことを真剣に見詰めてくる幸治君に、言う。
「幸治君が触れていたこのハンカチを唇につけただけで、私の“いけないトコロ”がキュッてしちゃう。
こんなの変な姿だよね、気持ち悪いオバサンだよね、私・・・。
なんか、ごめんね・・・?」
涙を流し続けながら謝った私に幸治君は無言で近付いてきた。
そして真面目な顔で私のすぐ目の前に立ち、私のことを見下ろしてくる。
「変な姿でも気持ち悪いオバサンでもないですから。」
そう言ってくれた幸治君に、唇にタオルハンカチをつけたまま何度も頷く。
そんな私を幸治君は嬉しそうな顔で笑い、そして・・・
私の右手をハンカチごと優しく包みソッと下に下ろしてきた。
「どんな理由だとしても、人の借金を代わりに返すなんて言ったらダメですよ。」
「だって、私お金ならあるから・・・。
むしろお金しかないから・・・。
2年前に会った時の29歳の身体でもなく、私31歳になっちゃった・・・。
23歳の幸治君からしてみたらオバサンだよね・・・。
私が23歳の時の31歳の人とか、“オバサンだな”とか“オジサン”だなって内心思ってたもん。」
「それ、俺の職場のトップの人にも言ってやってくださいよ。
オジサンのくせにあの人調子乗ってるので。
あ、でも・・・」
言葉を切った幸治君が私の顔を見詰めながら・・・
私の唇を見詰めながら・・・
瞼を少しだけ下ろしながら、ゆっくりと私の顔に顔を下ろしてきた・・・。
タオルハンカチごと包み込んだ私の右手を少しだけ強めに握りながら・・・
「やっぱり、あの人に言わないでください。
芸能人かっていうくらいのイケメンなうえに外面は良くて、仕事も出来るし稼いでもいて、更には名医のご両親を持ち恋愛経験豊富な大人の男なので。」
あんなに楽しそうに悪口を言っていた幸治君が、その人のことをこんなに褒め・・・
幸治君の唇と私の唇が触れ合うかのギリギリの時、幸治が小さくだけど囁いてきた。
「あの人と会って羽鳥さんがあの人のことを好きになっても、叶わない恋をする羽鳥さんが可哀想なので・・・。
俺、羽鳥さんが幸せになっていればいいなと思っていました。
他の女の子なんて少しもいませんでしたけど、羽鳥さんのことだけは忙しすぎる中でも考えていました。」
そんなことを私の唇を見詰めながら囁いてきて・・・
「俺・・・高校の時、羽鳥さんのことが好きでした。
憧れとかそんなんじゃなくて・・・俺、羽鳥さんのことが凄く・・・凄く好きでした・・・。
すみません・・・なんか、本当にすみませんでした・・・。」
幸治君がそう言って・・・
そんな謝罪をして・・・
私の唇に・・・
私の唇に、自分の唇をつけることはなかった。
私の唇のすぐ横、そこにほんの少しだけ唇をつけた・・・。
私の唇の横に幸治君の唇が触れた・・・。
触れてくれた・・・。
“凄く嬉しい”と思った・・・。
でも、“凄く苦しい”とも思った・・・。
なんでか、そんなことを思った・・・。