お嬢様は“いけないコト”がしたい
その言葉には疑問に思いながら顔を上げると、真剣な顔で私を見下ろしている幸治君の顔が見えた。
すっかりと大人の男の人になった顔で私を見詰めている。
そんな幸治君の顔を見て“嬉しい”と思う。
でも、それ以上に“苦しい”とも思う。
なんでかそう思う。
ドキドキとしている胸を感じながら幸治君を見上げていると、幸治君は照れたような顔で笑った。
「ココで俺と一緒に住みませんか?
そしたら俺に連絡が出来なくても大丈夫じゃないですか。
付き合いますよ、俺。
羽鳥さんが“いけないコト”をするのを。」
幸治君が自分の後ろにある高級マンションを指差しながらそんなことを言ってきた。
「“ラーメン 安部”で言ってましたよね?
お母さん2人で暮らしている家を出ることもなく、遊ぶこともなく暮らしてきたって。
結婚するまでは家を出ちゃいけないって羽鳥さんが昔言ってましたよね?
だから結婚していないのに家を出るという“いけないコト”をしましょう。
それで遊び回るという“いけないコト”もしましょう。」
そんなことを言われて・・・
そんなことを言ってくれて・・・
私の目からは沢山の涙が流れてきた。
涙だけではなく嗚咽も、それだけでもなく、鼻水も。
「でも・・・幸治君の・・・っこうじくんの時間・・・私が独占出来ないし・・・っ」
グチャグチャになりながらそう伝えると、幸治君が楽しそうに笑いながらまた私の顔に右手を伸ばしてきた。
それから涙や鼻水をその手で拭ってくれて・・・
「きたね~・・・。」
“汚い”と言いながらも拭ってくれる。
「俺はまだ23ですからね、若いですから。
羽鳥さんが“いけないコト”をするのに付き合うくらいの時間、なんでもないですよ。」
「でも・・・っ死ぬほど忙しいんでしょ・・・?」
「死ぬほど忙しかったですけど、職場もスタッフが増えて余裕が出てきましたし、勉強も一段落して余裕が出てきたタイミングだったんですよね。」
「でも・・・っあの部屋、職場の人達が泊まるって・・・っ」
「職場も余裕が出てきたのでここ数ヶ月は誰も泊まっていませんよ。
でも一応と思って1部屋丸々空いているタイミングです。」
「でも・・・っ煩くて面倒でヤバい人、大丈夫なの・・・?
安く借りてる部屋で私が一緒に住んで・・・っ」
「え・・・俺のことをそこまであの人に独占されるのは無理なんですけど。
“友達”とかいう言い訳で俺のことまで独占してきますけど、こんなことまで独占してきたら流石に無理ですね。」
凄く嫌そうな顔でそう言って、それには思わず笑ってしまうと幸治君の右手は私の顔から離れた。
でも・・・
なんでか“苦しい”とは思わなかった。
すっかりと大人の男の人になった顔で私を見詰めている。
そんな幸治君の顔を見て“嬉しい”と思う。
でも、それ以上に“苦しい”とも思う。
なんでかそう思う。
ドキドキとしている胸を感じながら幸治君を見上げていると、幸治君は照れたような顔で笑った。
「ココで俺と一緒に住みませんか?
そしたら俺に連絡が出来なくても大丈夫じゃないですか。
付き合いますよ、俺。
羽鳥さんが“いけないコト”をするのを。」
幸治君が自分の後ろにある高級マンションを指差しながらそんなことを言ってきた。
「“ラーメン 安部”で言ってましたよね?
お母さん2人で暮らしている家を出ることもなく、遊ぶこともなく暮らしてきたって。
結婚するまでは家を出ちゃいけないって羽鳥さんが昔言ってましたよね?
だから結婚していないのに家を出るという“いけないコト”をしましょう。
それで遊び回るという“いけないコト”もしましょう。」
そんなことを言われて・・・
そんなことを言ってくれて・・・
私の目からは沢山の涙が流れてきた。
涙だけではなく嗚咽も、それだけでもなく、鼻水も。
「でも・・・幸治君の・・・っこうじくんの時間・・・私が独占出来ないし・・・っ」
グチャグチャになりながらそう伝えると、幸治君が楽しそうに笑いながらまた私の顔に右手を伸ばしてきた。
それから涙や鼻水をその手で拭ってくれて・・・
「きたね~・・・。」
“汚い”と言いながらも拭ってくれる。
「俺はまだ23ですからね、若いですから。
羽鳥さんが“いけないコト”をするのに付き合うくらいの時間、なんでもないですよ。」
「でも・・・っ死ぬほど忙しいんでしょ・・・?」
「死ぬほど忙しかったですけど、職場もスタッフが増えて余裕が出てきましたし、勉強も一段落して余裕が出てきたタイミングだったんですよね。」
「でも・・・っあの部屋、職場の人達が泊まるって・・・っ」
「職場も余裕が出てきたのでここ数ヶ月は誰も泊まっていませんよ。
でも一応と思って1部屋丸々空いているタイミングです。」
「でも・・・っ煩くて面倒でヤバい人、大丈夫なの・・・?
安く借りてる部屋で私が一緒に住んで・・・っ」
「え・・・俺のことをそこまであの人に独占されるのは無理なんですけど。
“友達”とかいう言い訳で俺のことまで独占してきますけど、こんなことまで独占してきたら流石に無理ですね。」
凄く嫌そうな顔でそう言って、それには思わず笑ってしまうと幸治君の右手は私の顔から離れた。
でも・・・
なんでか“苦しい”とは思わなかった。