お嬢様は“いけないコト”がしたい
私がそう聞くと、女の子は大きな目をもっと大きく見開いた。



「え─────っ!?
コウ君の彼女さんなんですか!?
すみません!!
てっきりコウ君の職場の同僚の方なのかと思って、いつものようにおもてなしをしようとしちゃいました!!
私、コウ君の妹です!!
コウ君、彼女さんと同棲始めたんだ~!!
だから部屋の中が綺麗になってたんだ~!!」



その返事を聞いて凄く安心し・・・いや、やっぱり何も安心出来ないので、ほぼ裸の女の子、幸治君の妹に真剣に伝える。



「この部屋、幸治君の職場の人も使ってたんだよね?
そんな姿でいたら本当に危ないよ。
今まで何もなかったからそういうことをしているんだろうけど、今日は“何か”かあるかもしれないんだよ?
常にそういう危機感を持って生活をしないと。」



真剣に伝えたのに、幸治君の妹は吹き出すように大笑いをした。



「流石コウ君の彼女さん!!
コウ君と全く同じことを言ってくる!!」



「それは・・・うん。
昔幸治君から言われたことがあるから。
あと、私は幸治君の彼女ではなくて同居人で。」



「ルームシェアみたいな?」



「そう・・・なのかなぁ。
でも家賃も生活費もいらないって言われちゃって、だから炊事洗濯は私がするってなったんだけど。」



「コウ君って家のことはあんまり出来ないからね、お金を稼いでくれてたお兄ちゃんだから。」



「幸治君の何番目の妹さんなの?」



そう聞きながら冷蔵庫を開け、さっき買った食材を仕舞っていく。
そしたら、タッパーに入っている料理がいくつか見えた。



「私は1番下、大学2年生。」



「・・・1番下の妹さんだと幸治君と血が繋がってないよね?
そんな姿でいつも幸治君の前でいるの?」



「うち、裸族だったからさ。
私のお母さんが死んじゃった後、お父さんとお兄ちゃん達しか家にいないもんだから、洗濯するのも面倒だし基本的に暑がりだし、みんなでパンツ1枚で過ごしてて。」



「そっか・・・。」



「だから嫌だったよね~。
うちのお父さんとコウ君のお母さんが再婚するってなった時は。
女のきょうだいが増えるならまだしも、コウ君がいたら家の中で裸になれないじゃん!!って、そんな変なことを再婚して欲しくない言い訳にして、私1人でずっと怒ってた。」



それには小さく笑いながら幸治君の妹を見ると、幸治君の妹は懐かしそうな顔でどこか遠くを眺めている。



「だから私がコウ君の前で裸でいられるのはちゃんと家族になったっていう証拠なの。
凄く凄く良いお兄ちゃんだったからさ、コウ君って。
私の本当のお兄ちゃん達よりも良いお兄ちゃんで。
それが逆に心配になるくらいに良いお兄ちゃんすぎたからさ。」
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