お嬢様は“いけないコト”がしたい
私が選んだ席、2人掛けのテーブル席に座る。
お母さんは私の向かい側には座らず店内をキョロキョロとしていて、その顔を大きくしかめている。
そんなお母さんの顔を見ているともっと苦しくなってきて、もっと気持ち悪くなってくる。
胸を押さえながら、カウンターの向こう側に立つ若い男の子にお願いをする。
「お水を早めにお願いします。」
なかなかお水を持ってきてくれない男の子にそう言ったら、男の子はパッと顔を上げ何処かを指差し・・・
「すみません!!
コップは向こう、水は席にあるピッチャーの中に入ってます。
うち、基本的に俺1人で回しているのでセルフでお願いしています。」
そんなことを言われて・・・
そんな、よく分からないことを言われて・・・。
「ピッチャー・・・セルフ・・・?」
私が繰り返すと、男の子は凄く驚いた顔をして・・・小さく笑いながらカウンターから出て来た。
そして何処からかコップを2つ持ってきて私が座るテーブルの上にコトッと置いた。
でも・・・
すぐにカウンターの向こう側に戻ってしまい、私は驚きながらその姿を眺める。
「ちょっとアナタ、失礼でしょ?
空のコップを置くなんて。」
「・・・すみません。」
お母さんの言葉に謝った男の子がまたカウンターから出てこようとした。
でも、私はさっきから目に入っていた大きな容器を手に取った。
「大丈夫です、私が入れますから。」
少しだけ大きな声で言って、大きな容器を持ち上げる。
そしたら・・・
凄く重くてビックリした・・・。
容器の中から氷のような物がぶつかり合う音が聞こえてくるから、お水だけではなく氷も入っていることは分かるけれど。
お水と氷だけでこんなに重くなるのかとビックリとした。
ビックリとした・・・。
私は、水1杯も注ぐことが出来ない女なのかとも、ビックリとした・・・。
「あの・・・お水をこぼしてしまって・・・。」
2つのコップにお水を注ぐだけなのに、テーブルの上にお水をこぼしてしまった。
男の子はまたパッと顔を上げ私の座るテーブルを見てきて・・・
「テーブルの上にあるティッシュ使ってください!!」
そう言われ、それにも驚くしかない。
「アナタ・・・!!
お客様に拭かせるの!?」
「・・・すみません。」
お母さんの言葉に男の子はまた謝り、またカウンターから出てこようとした。
それを見て、私はすぐにティッシュを引き抜きテーブルの上にこぼれたお水を拭く。
それからお母さんの方を見上げ、プラスチックのコップに注いだお水をお母さんの方に置いた。
「お母さんも座って?
私凄く気持ち悪いから、まだ家に帰れないから。」
それから男の子の方をまた見る。
「メニューは?」
「・・・店内に貼ってあるのがメニューですねっ!!」
男の子はそう答えながら、何故か吹き出すように笑いだした。
「すみません!!
うち、“普通”よりも下レベルの中華料理屋ですけど大丈夫ですかね!?」
「えっと・・・じゃあ、アイスコーヒーを。」
「すみません!!
アイスコーヒーないっす!!」
それには驚くしかない。
「オレンジジュースならありますね!!
100パーセントじゃないですけど!!」
「・・・100パーセントじゃない・・・?」
それがどういう意味かもよく分からず首を傾げると、男の子が「烏龍茶もあります!!」と言うので、烏龍茶を注文した。
そして、すぐに出て来た烏龍茶・・・。
瓶の烏龍茶1本とグラスが2つ。
それをテーブルの上にコトッと置いて、男の子がまたカウンターの向こう側に戻ってしまって。
それが何だか面白くて。
こんな世界、私には初めてすぎて。
でも笑うのは“いけないコト”のような気がして我慢をしていたら・・・
「アナタ・・・!!」
お母さんがまた何かを言い出そうとしていて、私はそれよりも先にグラスに烏龍茶を注いだ。
お母さんのグラスと自分のグラスに、今度は上手に注いだ。
お酌は出来るので、注いだ。
お母さんは私の向かい側には座らず店内をキョロキョロとしていて、その顔を大きくしかめている。
そんなお母さんの顔を見ているともっと苦しくなってきて、もっと気持ち悪くなってくる。
胸を押さえながら、カウンターの向こう側に立つ若い男の子にお願いをする。
「お水を早めにお願いします。」
なかなかお水を持ってきてくれない男の子にそう言ったら、男の子はパッと顔を上げ何処かを指差し・・・
「すみません!!
コップは向こう、水は席にあるピッチャーの中に入ってます。
うち、基本的に俺1人で回しているのでセルフでお願いしています。」
そんなことを言われて・・・
そんな、よく分からないことを言われて・・・。
「ピッチャー・・・セルフ・・・?」
私が繰り返すと、男の子は凄く驚いた顔をして・・・小さく笑いながらカウンターから出て来た。
そして何処からかコップを2つ持ってきて私が座るテーブルの上にコトッと置いた。
でも・・・
すぐにカウンターの向こう側に戻ってしまい、私は驚きながらその姿を眺める。
「ちょっとアナタ、失礼でしょ?
空のコップを置くなんて。」
「・・・すみません。」
お母さんの言葉に謝った男の子がまたカウンターから出てこようとした。
でも、私はさっきから目に入っていた大きな容器を手に取った。
「大丈夫です、私が入れますから。」
少しだけ大きな声で言って、大きな容器を持ち上げる。
そしたら・・・
凄く重くてビックリした・・・。
容器の中から氷のような物がぶつかり合う音が聞こえてくるから、お水だけではなく氷も入っていることは分かるけれど。
お水と氷だけでこんなに重くなるのかとビックリとした。
ビックリとした・・・。
私は、水1杯も注ぐことが出来ない女なのかとも、ビックリとした・・・。
「あの・・・お水をこぼしてしまって・・・。」
2つのコップにお水を注ぐだけなのに、テーブルの上にお水をこぼしてしまった。
男の子はまたパッと顔を上げ私の座るテーブルを見てきて・・・
「テーブルの上にあるティッシュ使ってください!!」
そう言われ、それにも驚くしかない。
「アナタ・・・!!
お客様に拭かせるの!?」
「・・・すみません。」
お母さんの言葉に男の子はまた謝り、またカウンターから出てこようとした。
それを見て、私はすぐにティッシュを引き抜きテーブルの上にこぼれたお水を拭く。
それからお母さんの方を見上げ、プラスチックのコップに注いだお水をお母さんの方に置いた。
「お母さんも座って?
私凄く気持ち悪いから、まだ家に帰れないから。」
それから男の子の方をまた見る。
「メニューは?」
「・・・店内に貼ってあるのがメニューですねっ!!」
男の子はそう答えながら、何故か吹き出すように笑いだした。
「すみません!!
うち、“普通”よりも下レベルの中華料理屋ですけど大丈夫ですかね!?」
「えっと・・・じゃあ、アイスコーヒーを。」
「すみません!!
アイスコーヒーないっす!!」
それには驚くしかない。
「オレンジジュースならありますね!!
100パーセントじゃないですけど!!」
「・・・100パーセントじゃない・・・?」
それがどういう意味かもよく分からず首を傾げると、男の子が「烏龍茶もあります!!」と言うので、烏龍茶を注文した。
そして、すぐに出て来た烏龍茶・・・。
瓶の烏龍茶1本とグラスが2つ。
それをテーブルの上にコトッと置いて、男の子がまたカウンターの向こう側に戻ってしまって。
それが何だか面白くて。
こんな世界、私には初めてすぎて。
でも笑うのは“いけないコト”のような気がして我慢をしていたら・・・
「アナタ・・・!!」
お母さんがまた何かを言い出そうとしていて、私はそれよりも先にグラスに烏龍茶を注いだ。
お母さんのグラスと自分のグラスに、今度は上手に注いだ。
お酌は出来るので、注いだ。