お嬢様は“いけないコト”がしたい
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「え!!!?お姉さん31なの!!!?
・・・まあ、でも・・・言われてみればそうなのかな・・・めちゃくちゃ美人で大人っぽいし。
いや、でも肌とか身体とかめっっちゃ綺麗!!」



「うん、お金を掛けてるからね。」



私がそう答えると幸治君の妹は大きく笑い、ソファーの近くに置いていた鞄の中を漁り始めた。



そして、1枚のカードを私に渡してくれた。



「ここ、私がバイトをしているお店の姉妹店の1つで。
私のバイト先は“大人でも可愛い”をイメージしてるけど、大人の女の人が着るには結構甘めのデザインと少し幼さも残しているデザインで。
でもこっちの姉妹店は“綺麗だけど普段着に”がイメージだから、お姉さんに似合いそう。」



「ありがとう、今週末にでも行ってみる。」



「首元が詰まってるデザインばっかりなんだけど、流石は大きな会社っていう感じで、数日の時間を貰えば首元を3パターンのデザインに直すことも出来るから!!」



鞄を漁った時に飛び出た物、それを仕舞いながら良い情報まで教えてくれ幸治の妹に笑顔で頷いた。



幸治君の妹が飛び出た物を仕舞っている姿を眺めながら、頷いた。



そしたら・・・



そしたら・・・



幸治君の妹が手に持つハンカチが見えた。



タオルハンカチが・・・



私のタオルハンカチが見えた・・・。



小学校1年生の誕生日、お父さんとお母さんに私が欲しいと言ってプレゼントをして貰った1番のお気に入りだったタオルハンカチが。



そして、24歳の誕生日の日、幸治君と出会った日にも持っていたタオルハンカチが。



「そのハンカチ・・・。」



私が呟くと、幸治君の妹は嬉しそうな顔でタオルハンカチを顔の横に持ってきた。



「このハンカチ、可愛いよね!!
去年だったかな・・・いや、一昨年かな、コウ君が持ってたのを発見して、可愛い可愛いって騒いでたらくれて!!」



「そうなんだ・・・。」



「うち、中華料理屋をやってて。
そこの常連さんのハンカチだったらしいんだけど、もう来ないからってコウ君が言ってて。
コウ君が二十歳?21歳?の時に中華料理屋を辞めた時も、そのお店を継いだお兄ちゃんにそのお客さんが来たら自分に連絡して欲しいって言ってて。
すぐに店に行くから間を持たせてって言ってて。」



幸治君の妹の話には驚く。



凄く凄く驚く。



「うちでは“ハンカチの人”って呼んでて、お兄ちゃんって絶対にその女の子のことが好きだったよねってきょうだい達の中で噂してて!!」



「うん・・・好きだったみたい・・・。
幸治君、私のことをそういう好きだったみたい・・・。」



そのことは分かっていたので改めて驚きはしなかった。
それよりも驚いたのは・・・



「幸治君、二十歳とか21歳くらいの時に“中華料理屋 安部”を辞めてたの・・・?」



そっちの方に驚いた。



凄く凄く驚いた。



「うん、コウ君、ギャンブルしたんだよね。」
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