お嬢様は“いけないコト”がしたい
それから数分後にマンションの鍵が開く音が聞こえ、扉が開き閉まる音も聞こえた。
リビングから玄関へと歩き幸治君に「お帰りなさい」と声を掛けると、玄関で革靴を脱いでいた幸治君はパッと私のことを見てきて・・・
「ただいま・・・。」
と小さな声で呟いた。
そんな幸治君には首を傾げながら、数分前に幸治君の妹から言われた言葉を思い出しながら聞いた。
「ご飯にする?それともお風呂?」
聞いた私に幸治君は物凄く驚いた顔をして、それから熱が籠ったような目で私の目の前まで歩いてきた。
そして・・・
「じゃあ、羽鳥さんで。」
幸治君の身体と私の身体がつくギリギリの所でそう言われ、驚き固まってしまう。
ドキドキとした・・・。
凄くドキドキとして・・・。
幸治君は汗ばんだ顔を少しだけ赤らめ、照れたような顔で笑った。
「新婚みたいでヤバいっすね!!
あと一昨日から思ってましたけど、お嬢様って部屋着もそんな堅苦しい洋服着てるんですか?」
幸治君がそう言いながら私の横を通り過ぎ、脱いだスーツのジャケットをリビングにあったハンガーに掛けた。
そしてネクタイも緩めていき首からネクタイを外していく。
その姿がもう・・・本当に大人の男の人という感じで、ドキドキしたままの胸はもっとドキドキしていく。
「うん、部屋の中でも洋服を着てるよ。
でも私も幸治君みたいなスウェットっていうの?
そういうの欲しいな。」
「お嬢様がスウェットなんて着たら“いけないコト”?」
「うん、“いけないコト”。」
「じゃあ、今週末にでも買いにいきますか。
急な引っ越しだったので羽鳥さんの必要な物を買うのも付き合いますよ。」
「ありがとう。
あとはラフな洋服が欲しくて。」
ワイシャツとスーツのズボン姿になり、首元と手首のボタンを開けていく幸治君にタオルハンカチを差し出す。
「幸治君の1番下の妹が来てて、私が似合いそうなお店を教えてくれたの。
あと、これを幸治君に返すって。
“欲しいみたいな感じで騒いでごめんね”って言ってたよ?」
畳んだタオルハンカチの上に鍵をのせて幸治君に見せると、幸治君はタオルハンカチを見下ろし固まっている。
「咲希(さき)から・・・妹から何か聞きましたか?」
「うん、少しだけ。
幸治君・・・二十歳とか21歳の時に“中華料理屋 安部”を辞めてたの?」
「そうですね・・・。
二十歳の時に辞めました。」
そう答えながら幸治君はゆっくりとタオルハンカチと鍵を受け取った。
「幸治君って、今は何の仕事をしてるの?」
聞いた私に幸治君は瞳を揺らし、熱が籠った目で私のことを見詰めてきた。
「“普通”の仕事です。」
「“普通”?」
「そうですね、本当に“普通”の仕事です。」
幸治君はもう1度そう答え、タオルハンカチをゆっくりと自分の口元に持っていった。
そして・・・
「俺、高校の時、羽鳥さんのことがめちゃくちゃ好きでした。」
改めてそう言われ、私は小さく頷く。
「俺、大人の男になりましたけどまだ23で若いので、こんなのを見せられたら無理ですよ。」
幸治君の片手はゆっくりと動き・・・
幸治君の“いけないトコロ”に触れた。
「さっき言った通り、ご飯でもお風呂でもなく、羽鳥さんに“いけないコト”をしていいですか?」
ドキドキとした・・・。
さっきからずっとドキドキとしていたけど、もっともっとドキドキとした・・・。
「今はもうガキではないので、羽鳥さんのことを異性として好きになることは絶対にないので。」
またそう言われてしまって・・・
でも、私は大きく頷いた。
リビングから玄関へと歩き幸治君に「お帰りなさい」と声を掛けると、玄関で革靴を脱いでいた幸治君はパッと私のことを見てきて・・・
「ただいま・・・。」
と小さな声で呟いた。
そんな幸治君には首を傾げながら、数分前に幸治君の妹から言われた言葉を思い出しながら聞いた。
「ご飯にする?それともお風呂?」
聞いた私に幸治君は物凄く驚いた顔をして、それから熱が籠ったような目で私の目の前まで歩いてきた。
そして・・・
「じゃあ、羽鳥さんで。」
幸治君の身体と私の身体がつくギリギリの所でそう言われ、驚き固まってしまう。
ドキドキとした・・・。
凄くドキドキとして・・・。
幸治君は汗ばんだ顔を少しだけ赤らめ、照れたような顔で笑った。
「新婚みたいでヤバいっすね!!
あと一昨日から思ってましたけど、お嬢様って部屋着もそんな堅苦しい洋服着てるんですか?」
幸治君がそう言いながら私の横を通り過ぎ、脱いだスーツのジャケットをリビングにあったハンガーに掛けた。
そしてネクタイも緩めていき首からネクタイを外していく。
その姿がもう・・・本当に大人の男の人という感じで、ドキドキしたままの胸はもっとドキドキしていく。
「うん、部屋の中でも洋服を着てるよ。
でも私も幸治君みたいなスウェットっていうの?
そういうの欲しいな。」
「お嬢様がスウェットなんて着たら“いけないコト”?」
「うん、“いけないコト”。」
「じゃあ、今週末にでも買いにいきますか。
急な引っ越しだったので羽鳥さんの必要な物を買うのも付き合いますよ。」
「ありがとう。
あとはラフな洋服が欲しくて。」
ワイシャツとスーツのズボン姿になり、首元と手首のボタンを開けていく幸治君にタオルハンカチを差し出す。
「幸治君の1番下の妹が来てて、私が似合いそうなお店を教えてくれたの。
あと、これを幸治君に返すって。
“欲しいみたいな感じで騒いでごめんね”って言ってたよ?」
畳んだタオルハンカチの上に鍵をのせて幸治君に見せると、幸治君はタオルハンカチを見下ろし固まっている。
「咲希(さき)から・・・妹から何か聞きましたか?」
「うん、少しだけ。
幸治君・・・二十歳とか21歳の時に“中華料理屋 安部”を辞めてたの?」
「そうですね・・・。
二十歳の時に辞めました。」
そう答えながら幸治君はゆっくりとタオルハンカチと鍵を受け取った。
「幸治君って、今は何の仕事をしてるの?」
聞いた私に幸治君は瞳を揺らし、熱が籠った目で私のことを見詰めてきた。
「“普通”の仕事です。」
「“普通”?」
「そうですね、本当に“普通”の仕事です。」
幸治君はもう1度そう答え、タオルハンカチをゆっくりと自分の口元に持っていった。
そして・・・
「俺、高校の時、羽鳥さんのことがめちゃくちゃ好きでした。」
改めてそう言われ、私は小さく頷く。
「俺、大人の男になりましたけどまだ23で若いので、こんなのを見せられたら無理ですよ。」
幸治君の片手はゆっくりと動き・・・
幸治君の“いけないトコロ”に触れた。
「さっき言った通り、ご飯でもお風呂でもなく、羽鳥さんに“いけないコト”をしていいですか?」
ドキドキとした・・・。
さっきからずっとドキドキとしていたけど、もっともっとドキドキとした・・・。
「今はもうガキではないので、羽鳥さんのことを異性として好きになることは絶対にないので。」
またそう言われてしまって・・・
でも、私は大きく頷いた。