お嬢様は“いけないコト”がしたい
そして着いた咲希ちゃんから教えて貰ったお店、お洒落で落ち着いた外観の窓や扉からは私好みの服が売っていそうなお店だと分かる。



「ここですか・・・。」



幸治君が小さく呟いたかと思ったら、パッと私の右手を離した。



「すみません、ここ、俺のお客さんの店で。」



「そうだったんだ。
カフェとか他のお店を見て時間潰してて?
結構好みが決まってて、私洋服を買うのにそんなに時間が掛からないから。」



「・・・いや、俺も付き合う。
さっきそう言ったのに付き合わないとか、そんなことはしないから。」



幸治君が力強くそう言ったかと思ったら、幸治君の方が先に扉を開き私をお店の中に入れてくれた。



「いらっしゃいませ。」



数人のお客さんの中、女性の店員さんの落ち着いた声が聞こえた。



そんな中、お店に入った。



そしたら・・・



「え~!?安部さん!?」



その女性の店員さんが・・・私よりも若く見える綺麗な店員さんが高い声で幸治君の名字を呼んだ。



「こんにちは。」



「こんにちは~!!
今日どうされたんですか?プライベート?
私服姿も凄く素敵だね~!!
・・・あ、彼女さん・・・?
あれ、でもこの前彼女いないって言ってましたよね?」



「彼女とかじゃないです。
この人の服を買うのに付き合うことになりまして。」



「それでうちの店を見に来てくれたんですか!?
嬉しい~!!」



「この店をこの人にすすめたのは僕じゃなくて妹ですけどね。」



「妹さん、ここの姉妹ブランドでアルバイトしてるもんね!!
付き添いとはいえ安部さんがプライベートでうちに遊びに来てくれて凄く嬉しいです~!!」



店員さんが凄く嬉しそうな顔で幸治君と話し、それから私の方を見てきた。



「すっっっごい美人!!!
その服、あの高級ブランドの新作のワンピースですよね?
うちに置いている服で気に入ってくれる物があるか少し不安ですけど、お客様に似合いそうな服は沢山ありますのでゆっくりご覧くださいね。」



キラキラとした笑顔で私に笑い掛けてくれた店員さんの向こう側・・・



そこには、他の店員さんの女の子達に囲まれている幸治君の姿があった。



みんなキラキラとしていた・・・。



みんな若くて綺麗で可愛くて、眩しいくらいにキラキラとしていた。



そんな女の子達の中心にいる幸治君も、若くて眩しいくらいにキラキラとしていた。
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