お嬢様は“いけないコト”がしたい
お世辞でも綺麗ともお洒落とも言えない内観、古くて狭い店内にはカウンター席しかないとんかつ専門店。
外にまで並んでいたお客さんは次々とお店の中に流れていき、数分で私達の番になった。
「凄い回転率だね。」
ほとんどが1人で来ているお客さん。
男女2人で来ているお客さんもいるけれど、みんな黙々と食べカウンターでサッとお会計を済ませすぐにお店から出ていく。
喋ってはいけない雰囲気なのを感じ取り、私も口を閉じて幸治君の隣の席に着いた。
そしたら幸治君が私の耳元にゆっくりと口元を近付けてきて・・・
「アイスコーヒーは絶対にないので、頼まないでくださいね?」
そう言われ、私は小さく吹き出しながら幸治君の腕に触れ少しだけ押した。
「もう・・・っ幸治君も意地悪!」
小声で文句を言うと、幸治君が楽しそうに笑っていて。
カウンターの前にある台に置かれたグラスを私の前に置いてくれ、とんかつを2人分注文してくれた。
良い匂いが充満している店内、黙々と食べているお客さんの姿、それを眺めているだけでどんどんお腹が空いてくる。
これ以上空いたことがないくらい、お腹が空いてくる。
「「お腹空いた・・・。」」
小さく呟いた声は幸治君と重なり、それには幸治君と身体を寄せ合い、顔を寄せ合い、2人で静かに笑い合う。
そんなことをしていたらすぐに私の目の前にはとんかつが・・・。
カウンターの前にある台にのせられた2つのトレー、その1つを幸治君が私の席のカウンターに置いてくれた。
「美味しそう・・・。」
綺麗なキツネ色の大きなとんかつ、みずみずしいキャベツの千切り、輝いて見える白米、それとお味噌汁とお新香。
「この調味料で好きなように食べていいみたいですね。」
目の前にはいくつもの調味料が置かれていて、幸治君がカラシを手に取ったのが見えた。
「私はまずはそのまま食べて、その後はソースで・・・あ、お塩もいいね、あとは~・・・」
「僕はマヨネーズで食べるよ、邪道だって怒られちゃうかもしれないけど。」
幸治君ではない反対側の男の人が急に私に話し掛けてきた。
私よりも少し若く見える男の人、その人が私から視線を移し幸治君のことを見た。
「美人なだけじゃなくて高級な服を着たお姉さんが座って、僕がそれを汚さないようにと気を付けながら食べてたよ。
こんなお姉さんをどんな男が連れてるのかと最後に見てみたら、まさかの安部さんで腰が抜けて立ち上がれなかったよね。」
外にまで並んでいたお客さんは次々とお店の中に流れていき、数分で私達の番になった。
「凄い回転率だね。」
ほとんどが1人で来ているお客さん。
男女2人で来ているお客さんもいるけれど、みんな黙々と食べカウンターでサッとお会計を済ませすぐにお店から出ていく。
喋ってはいけない雰囲気なのを感じ取り、私も口を閉じて幸治君の隣の席に着いた。
そしたら幸治君が私の耳元にゆっくりと口元を近付けてきて・・・
「アイスコーヒーは絶対にないので、頼まないでくださいね?」
そう言われ、私は小さく吹き出しながら幸治君の腕に触れ少しだけ押した。
「もう・・・っ幸治君も意地悪!」
小声で文句を言うと、幸治君が楽しそうに笑っていて。
カウンターの前にある台に置かれたグラスを私の前に置いてくれ、とんかつを2人分注文してくれた。
良い匂いが充満している店内、黙々と食べているお客さんの姿、それを眺めているだけでどんどんお腹が空いてくる。
これ以上空いたことがないくらい、お腹が空いてくる。
「「お腹空いた・・・。」」
小さく呟いた声は幸治君と重なり、それには幸治君と身体を寄せ合い、顔を寄せ合い、2人で静かに笑い合う。
そんなことをしていたらすぐに私の目の前にはとんかつが・・・。
カウンターの前にある台にのせられた2つのトレー、その1つを幸治君が私の席のカウンターに置いてくれた。
「美味しそう・・・。」
綺麗なキツネ色の大きなとんかつ、みずみずしいキャベツの千切り、輝いて見える白米、それとお味噌汁とお新香。
「この調味料で好きなように食べていいみたいですね。」
目の前にはいくつもの調味料が置かれていて、幸治君がカラシを手に取ったのが見えた。
「私はまずはそのまま食べて、その後はソースで・・・あ、お塩もいいね、あとは~・・・」
「僕はマヨネーズで食べるよ、邪道だって怒られちゃうかもしれないけど。」
幸治君ではない反対側の男の人が急に私に話し掛けてきた。
私よりも少し若く見える男の人、その人が私から視線を移し幸治君のことを見た。
「美人なだけじゃなくて高級な服を着たお姉さんが座って、僕がそれを汚さないようにと気を付けながら食べてたよ。
こんなお姉さんをどんな男が連れてるのかと最後に見てみたら、まさかの安部さんで腰が抜けて立ち上がれなかったよね。」