お嬢様は“いけないコト”がしたい
それからお腹を擦り続けたまま、幸治君と一緒に暮らす部屋へと帰って来た。
幸治君がお風呂を沸かしてくれている間、私はリビングのソファーに外出用のワンピースのまま横になる。
リビングのソファーに横になるなんて“いけないコト”だけど、気にせずに横になった。
「・・・大丈夫ですか?」
お風呂場から戻ってきた幸治君が心配そうな顔で私に聞いてきた。
「幸治君、先にお風呂入ってね?
私まだお腹いっぱいで・・・。
少し部屋で休んでからお風呂に入る。
あと・・・今日は気持ち良い“いけないコト”は出来そうにないや、ごめんね?」
「それは大丈夫ですけど・・・。
うち、市販の胃薬とかもないからな。」
幸治君が腕時計を見下ろし、玄関の方を指差した。
「ちょっとドラッグストアに行ってきます。」
“胃薬は大丈夫”
そう答えようとしたけれど・・・
「お願いします・・・。」
素直にそう吐き出した。
なんだかお腹が痛くなってきたから。
「何かあったら俺に連絡・・・いや、俺の連絡先を覚えていないと思うので、連絡先交換しておきます?」
「ううん、大丈夫・・・。
連絡先を交換したらこの部屋に住む理由もなくなっちゃうから・・・。」
私がそう答えると、幸治君は嬉しそうに笑って「行ってきます」と言ってきた。
それにお腹を擦りながら「行ってらっしゃい」と苦しみながらも返した。
幸治君は心配そうな顔をしながらも部屋を出ていき、それを確認してから私は自分の部屋に入った。
部屋着の洋服に着替えようとするけれど、お腹が苦しくて・・・。
お腹がどんどん痛くなってきて・・・。
「いた~い・・・」
小さな声ではなく普通の声の大きさで吐き出した。
お母さんと2人で暮らしていたマンションから必要最低限の物だけを運び込んだ部屋。
ただの“羽鳥”を満喫しているお母さんの姿を思い浮かべる。
「おかあさ~ん・・・。」
“明日”引っ越しをすると伝えても、男の子と一緒に住むと伝えても、「好きなように生きなさい」とだけ言って私を見送ってくれたお母さん。
31歳になり初めて親元を離れ、具合が悪くなり初めて、お母さんという存在の大きさを実感した。
そして・・・
「お父さん・・・。」
私が具合が悪くなると私の傍にいてくれるお母さん、そしてすぐにかかりつけのお医者さんに連絡をしてくれるお父さん。
そんなお父さんの姿まで思い浮かぶ。
いつも大したことがなくていつもお医者さんから“大袈裟だ”と文句を言われながらも、お父さんは毎回私のことを車やタクシーで病院に連れて行ってくれていた。
深夜でも早朝でも、文句1つ言わずに連れて行ってくれていた。
「31歳にもなって泣きそう・・・。」
具合が悪くなり初めて“家”が恋しくなった。
幸治君がお風呂を沸かしてくれている間、私はリビングのソファーに外出用のワンピースのまま横になる。
リビングのソファーに横になるなんて“いけないコト”だけど、気にせずに横になった。
「・・・大丈夫ですか?」
お風呂場から戻ってきた幸治君が心配そうな顔で私に聞いてきた。
「幸治君、先にお風呂入ってね?
私まだお腹いっぱいで・・・。
少し部屋で休んでからお風呂に入る。
あと・・・今日は気持ち良い“いけないコト”は出来そうにないや、ごめんね?」
「それは大丈夫ですけど・・・。
うち、市販の胃薬とかもないからな。」
幸治君が腕時計を見下ろし、玄関の方を指差した。
「ちょっとドラッグストアに行ってきます。」
“胃薬は大丈夫”
そう答えようとしたけれど・・・
「お願いします・・・。」
素直にそう吐き出した。
なんだかお腹が痛くなってきたから。
「何かあったら俺に連絡・・・いや、俺の連絡先を覚えていないと思うので、連絡先交換しておきます?」
「ううん、大丈夫・・・。
連絡先を交換したらこの部屋に住む理由もなくなっちゃうから・・・。」
私がそう答えると、幸治君は嬉しそうに笑って「行ってきます」と言ってきた。
それにお腹を擦りながら「行ってらっしゃい」と苦しみながらも返した。
幸治君は心配そうな顔をしながらも部屋を出ていき、それを確認してから私は自分の部屋に入った。
部屋着の洋服に着替えようとするけれど、お腹が苦しくて・・・。
お腹がどんどん痛くなってきて・・・。
「いた~い・・・」
小さな声ではなく普通の声の大きさで吐き出した。
お母さんと2人で暮らしていたマンションから必要最低限の物だけを運び込んだ部屋。
ただの“羽鳥”を満喫しているお母さんの姿を思い浮かべる。
「おかあさ~ん・・・。」
“明日”引っ越しをすると伝えても、男の子と一緒に住むと伝えても、「好きなように生きなさい」とだけ言って私を見送ってくれたお母さん。
31歳になり初めて親元を離れ、具合が悪くなり初めて、お母さんという存在の大きさを実感した。
そして・・・
「お父さん・・・。」
私が具合が悪くなると私の傍にいてくれるお母さん、そしてすぐにかかりつけのお医者さんに連絡をしてくれるお父さん。
そんなお父さんの姿まで思い浮かぶ。
いつも大したことがなくていつもお医者さんから“大袈裟だ”と文句を言われながらも、お父さんは毎回私のことを車やタクシーで病院に連れて行ってくれていた。
深夜でも早朝でも、文句1つ言わずに連れて行ってくれていた。
「31歳にもなって泣きそう・・・。」
具合が悪くなり初めて“家”が恋しくなった。